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フレックスタイム制の導入手順や注意点

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を導入している企業はわずか7.2%に留まっています。特に中小企業では導入率が低く、「運用が難しそう」「労務管理が複雑で対応できない」などの理由から導入をためらう事業者の方も多いでしょう。

本記事では、フレックスタイム制のメリットやデメリット、導入の手順、導入後の対応や注意点などについてわかりやすく解説していきます。フレックスタイム制の導入を迷われている方は、ぜひご覧ください。

フレックスタイム制を導入する企業のメリット・デメリット

フレックスタイム制とは、一定期間(清算期間)において働くべき時間(総労働時間)を前もって決めておき、始業時刻と終業時刻の両方を労働者の裁量に委ねる制度です。
フレックスタイム制を導入するメリットやデメリットには、以下のようなものがあります。

【メリット】

  • ワークライフバランスの向上により、労働者の定着率アップにつながる
  • 遠方からの通勤も可能となり、柔軟な働き方を実現できる
  • 優秀な人材を確保しやすくなる
  • メリハリをつけて働くことで、作業効率アップが期待できる

【デメリット】

  • 労務管理が複雑になる
  • 労働者がコミュニケーションをとる機会が減る
  • 時間にルーズな労働者が出てくる

フレックスタイム制のメリットとデメリットについて、より詳しく知りたい方は以下のページもご覧ください。

フレックスタイム制とは|仕組みやメリット・デメリット、残業の扱いなど

フレックスタイム制の導入方法・手順

フレックスタイム制を導入する手順は、以下のようになります。

  1. フレックスタイム制のルールを定める
  2. 就業規則に規定する
  3. 労使協定を締結する
  4. 労働基準監督署へ届け出る
  5. 従業員に周知・説明する
  6. 運用を開始する

ルールを定めたあとは、就業規則の変更や労使協定の締結といった労務手続きも必要となるため、漏れなく対応する必要があります。

①フレックスタイム制のルールを定める

フレックスタイム制を導入する際は、対象となる労働者の範囲や清算期間などを定める必要があります。適用範囲については、部署の特性や業務内容などを踏まえて慎重に判断しなければなりません。

例えば、クライアントと頻繁に連絡をとる部署の場合、毎日決まった時間に出社していないと相手方に迷惑をかけるおそれがあります。総合的にフレックスタイム制に馴染まないと考えられる場合、この時点で導入自体をやめるのも選択肢のひとつです。

フレックスタイム制の導入時に定めるべき事項は、以下のようなものです。

対象となる労働者の範囲 対象となる労働者は、特定の個人や部署、職種等と定めることができます。もちろん、全労働者と定めることも可能です。
清算期間 3ヶ月以下の期間を定めます。ただし、1ヶ月を超える期間を定めるときには労使協定を労働基準監督署に届け出なければなりません。
清算期間における総労働時間 清算期間内に労働するべき時間として、「週平均40時間以下となる労働時間」、あるいは「1日あたり8時間以下となる労働時間」を定めます。
標準となる1日の労働時間 有給休暇を取得した日に働いたとみなされる労働時間をさだめます。通常の場合には、総労働時間と勤務日から、1日の勤務日あたりの労働時間を計算して求めます。
コアタイム・フレキシブルタイム コアタイムは「労働しなければならない時間」であり、フレキシブルタイムは「その時間帯であればいつ出社または退社してもよい時間」です。

コアタイムの設定について

フレックスタイム制では、1日の中で必ず勤務しなければならない「コアタイム」を定めることができます。

コアタイムを設けることで、労働者のコミュニケーションの機会を確保できるほか、勤怠管理が比較的容易になります。また、「部署の人間が誰も出社していない」といったリスクも防止できるでしょう。

ただし、コアタイムの設定は任意なので、あえてコアタイムを設けず、終日出退勤を自由とする「スーパーフレックスタイム制」を導入する企業もみられます。

コアタイムはメリットも多いですが、日中の勤務を義務付けることで、実質的にフレックスタイム制の効果を感じにくくなるおそれもあります。例えば、「子供の通院のために午前中で退勤したい」という場合も、コアタイムがあると融通が利きません。

また、コアタイムが長すぎると制度自体が無効となる可能性もあるため、コアタイムは4~5時間を目安に適正な時間で設定しましょう。

②就業規則に規定する

フレックスタイム制を導入する際は、就業規則その他これに準ずるものにより、以下のような事項について定める必要があります。

  • 適用労働者の範囲
  • 清算期間及び清算期間における起算日
  • 清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)
  • 1日の標準労働時間
  • 始業・終業時刻の決定を対象労働者に委ねる旨
  • コアタイムやフレキシブルタイムの開始及び終了の時刻
  • 就業規則に掲げる事項以外については、労使で協議する旨

③労使協定を締結する

労使協定とは、使用者と労働者代表の間で締結する書面契約のことです。

フレックスタイム制の導入時は、対象者や清算期間などのルールを定めた「労使協定」を締結しなければなりません。清算期間が1ヶ月を超える場合、労働基準監督署への届出も必要です。

④労働基準監督署へ届け出る

「就業規則」の変更後は、所轄の労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。労基署への届出は労働基準法上の義務なので、清算期間の長さにかかわらず対応が必要です。

一方、「労使協定」については、清算期間が1ヶ月を超える場合のみ労基署への届出義務があります。清算期間が1ヶ月以内の場合、締結後の届出までは必要ありません。

⑤従業員に周知・説明する

就業規則の変更後の内容は、従業員に周知・説明する必要があります。

就業規則は労基署への届出だけでなく、従業員に周知してはじめて効力が発生するため、周知を怠った場合はフレックスタイム制自体が無効となる可能性があります。
特に、以下のような事項は丁寧に説明しましょう。

  • フレックスタイム制導入の目的
  • 労働時間の管理方法や注意点
  • 時間外労働や休日労働の取扱い
  • コミュニケーション不足などのリスク対策

従業員の理解を深めるため、個別の面談や説明会を実施するのもひとつの方法です。
導入後に課題や問題が発生した場合は、定期的に制度設計を見直し、改めて従業員に周知する必要があります。

就業規則の周知方法などは、以下のページで紹介しています。

就業規則の周知義務とは│従業員への周知方法や違反時の罰則など

⑥運用を開始する

フレックスタイム制の導入後は、勤怠管理システムなどを活用し、対象者の労働時間を正確に管理する必要があります。フレックスタイム制では1日の労働時間が定まっていないため、カウントを誤ると残業代の未払いなどが発生するおそれがあります。

また、かえって作業効率が落ちたり、時間にルーズな労働者が増えたりした場合は、コアタイムの延長や制度の適用解除といった対策も検討が必要です。
ただし、企業が一方的に運用方法を変えると「不利益変更」にあたる可能性があるため、あらかじめ労使協定などで以下のように定めておくと良いでしょう。

●業務効率の向上がみられない場合は、フレックスタイム制の適用を解除することがある

フレックスタイム制導入の注意点

フレックスタイム制を導入する際は、以下の点に注意が必要です。
誤った認識のまま制度を開始すると、違法になったり、労働トラブルを招いたりする可能性があります。

  • 労使協定を正しく締結する
  • 始業時刻・終業時刻は指定できない
  • 労働時間を適正に把握する
  • 時間外労働をさせるには36協定が必要
  • コミュニケーション不足への対策をとる

労使協定を正しく締結する

代表者の選任方法に問題があったり、必要な記載事項が不足していたりと何らかの不備がある場合、労使協定は無効とみなされるおそれがあります。

労使協定が無効になると、賃金の計算も通常と同じ扱いを受けることから、法定労働時間を超えた分は時間外労働として、割増賃金を支払わなければなりません。
具体的には、労働時間が1日8時間を超えてしまうと割増賃金が発生するなど、予想外の人件費がかかるおそれがあります。

始業時刻・終業時刻は指定できない

フレックスタイム制は、始業時刻と終業時刻の両方を労働者の裁量に委ねる制度です。そのため、両方を固定することはもちろん、どちらか一方を固定することも許されません。

例えば、コアタイムが午前11時から午後3時とされている労働者に対して、毎朝9時のミーティングに参加するよう指示することは認められないのが基本です。

ただし、突発的な顧客対応などについては、コアタイムでなくても業務命令が可能だと考えられます。そこで、あらかじめ就業規則に「業務上の必要性がある場合、労働者に早出や残業を命じることがある」などと定めておくと良いでしょう。

労働時間を適正に把握する

フレックスタイム制でも、企業は労働者の労働時間を適正に把握する義務があります。
具体的には、勤怠システムやタイムカード、パソコンの使用履歴などの客観的な記録によって、労働時間を管理するのが基本です。

労働時間の管理が曖昧だと、長時間労働を見落としたり、残業代の計算を誤ったりするなど様々なリスクが生じます。
また、フレックスタイム制の対象者は日によって労働時間が変わるため、労働時間の管理は一層複雑になる可能性が高いです。人事担当者はミスが生じないよう、慣れるまでは特に慎重に対応しましょう。

時間外労働をさせるには36協定が必要

フレックスタイム制でも、労働者に時間外労働を命じるには36協定の締結が必要です。フレックスタイム制では、以下の時間が「時間外労働」として扱われます。

  • あらかじめ定めた清算期間における総労働時間を超過して働いた分の時間
  • 清算期間が1ヶ月を超える場合、週平均の労働時間が50時間を超えた分の時間

フレックスタイム制における「時間外労働」の計算方法については、以下のページで詳しく解説しています。

フレックスタイム制における時間外労働(残業)|計算方法や注意点

36協定については、以下のページでも詳しく解説しています。

36協定を締結する際の注意点|8つのポイントをわかりやすく解説

コミュニケーション不足への対策をとる

フレックスタイム制を導入すると、労働者が顔を合わせる機会が減り、コミュニケーション不足に陥りやすいという問題が生じます。業務の連絡が滞ったり、仕事へのモチベーションが下がったりするおそれもあるため、コミュニケーション不足への対策は不可欠といえます。

例えば、一定のコアタイムを設ける定期的にミーティングを行うなどして、労働者が対話できる機会を確保する方法が有効です。また、日報をつけることも、業務の進捗状況や課題を共有するために役立つでしょう。

フレックスタイム制導入時の違法行為に対する罰則

清算期間が1ヶ月を超える場合、労使協定を締結のうえ、所轄の労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。
届出義務に違反した場合、事業者は30万円以下の罰金を科されるおそれがあります。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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