初回1時間 来所・zoom相談無料

0120-630-807

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません 会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

人事・労務・労働問題を法律事務所へ相談するなら会社側・経営者側専門の弁護士法人ALGへ

監視・断続的労働従事者

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

監視・断続的業務とは、機器の監視や夜間巡回など特殊な業務を指します。これらの業務はいわゆる手待時間が多いため、一般労働者とは異なる労務管理がなされます。例えば、労働時間が規制されないなど、会社にとってメリットが多いのが特徴です。

しかし、監視・断続的業務従事者への措置は限定的ですので、必ず認められるとは限りません。また、正しい手順を踏んだうえで適用する必要があるため注意が必要です。

本記事では、監視・断続的業務従事者の特徴や具体例、労働時間規制の適用外とするために必要な手続き等を解説します。「自社も該当するのか」「誰が対象になるかわからない」など疑問がある方は、ぜひご覧ください。

監視・断続的労働従事者について

監視業務や断続的業務を行う労働者は、労働基準法における労働時間等の規定が適用されません(同法41条3号)。つまり、時間外労働の上限や休日という概念がなく、残業代や休日労働手当を支給しなくても良いことになります。

これは、監視・断続的業務は労働密度が低く、心身への負担も少ないことから、労働時間を規制しなくても健康上問題ないと考えられるためです。

使用者にとっては良い話かもしれませんが、闇雲に適用することはできません。まず行政官庁の許可を得るなど、決められた手順を踏む必要があります。

また、監視・断続的業務の内容についても慎重な判断が必要です。この点、以下の判断基準に沿って検討していきましょう。

監視労働

監視労働とは、以下の2点に該当するものをいいます。

  • 一定部署で監視するのが、本来的な業務であること
  • 常態的に身体的または精神的緊張が少ないこと

例えば、門番や座ってメーターを監視する業務などが挙げられます。

これらの業務は、異常が発生しない限り特段作業を必要としないため、一般労働者よりも体力的・精神的負担が少ないといえます。
そのため、通常よりも労働時間を長くしたり、休日を減らしたりしても健康上害はないと考えられています。

一方、事故等に巻き込まれるリスクがある業務は、心身への負担が大きいことから対象外とされています。

断続的労働

断続的労働者とは、以下の3点に該当するものをいいます。

  • 実作業が間欠的で、手待時間が多いこと
  • 手待時間が実作業時間以上であること
  • 実作業時間の合計が8時間を超えないこと

言い換えると、基本的に閑散だが、事故発生に備えて待機しているケースや、勤務時間の半分以上が待機時間というケースがあてはまります。

ただし、危険な作業を伴うケースについては、たとえ手待時間が長くても対象外となります。
また、業務の途中に休憩を何度も挟むなど、人為的に断続性を持たせた場合も対象外です。

ここで、「そもそも手待時間に給与は発生するのか」と思われる方もいるでしょう。この点、手待時間は労働時間に含まれるため、賃金も発生するのが基本です。

詳しくは以下のページをご覧ください。

手待時間と休憩時間の判断基準

監視・断続的労働従事者の例

ここで、監視・断続的業務の具体例をみてみましょう。以下の業務に就く場合、労働時間規制等の適用対象外にできる可能性があります。

  • 守衛や門番
  • 学校の用務員
  • 重役の専属運転手
  • 集合住宅の管理人(住み込みの場合)
  • ホテルや寄宿舎の炊事係
  • 隔日勤務のビル警備員

※その他の要件として、「1勤務の拘束時間は24時間以内で、夜間に4時間以上継続した睡眠時間が付与されていること」、「巡回の回数は1勤務10回まで(1回につき1時間・合計6時間以内)であること」、「勤務と勤務の間に20時間以上の休息時間があること」、「月2日以上の休日があること」、「常勤であること」が定められています。

一方、以下の業務は、精神的負担の大きさや、実作業時間の観点から、監視・断続的業務にはあたらないとされています。

  • 犯罪人の看視員
  • 高価な物品がある場所の監視員
  • 交通関係の監視員
  • 車両誘導を伴う駐車場の監視員
  • プラントにおける計器類の監視員
  • ボイラー技士
  • 新聞配達員
  • タクシー運転手
  • 常備消防職員

監視・断続的労働従事者の労働時間等

行政官庁の許可を得れば、監視・断続的業務従事者について、労働基準法上の労働時間・休憩・休日規定の適用対象外とすることができます(労働基準法41条3号)。
よって、1日8時間を超えて働いても残業代は発生しませんし、休日を与えなくても法違反とはなりません。

ただし、所定労働時間を超えて勤務した場合、その分の賃金は支払う必要があります。

監視・断続的業務従事者も無制限に働かせて良いわけでなく、行政官庁の許可を得る時点で1日の所定労働時間が決まるため、超過分については賃金が発生します。

もっとも、割増率の規定も適用外なので、割増賃金を支払う必要はありません。所定労働時間超過分の賃金ルールは、労使間で自由に決定することができます(1倍、独自の割増率など)。

なお、監視・断続的業務従事者も、深夜労働(同法37条4項)と有給休暇(同法39条)の規定は適用されます。よって、深夜(22時~5時)に働いた場合は1.25倍の割増賃金を支払い、また、勤続年数に応じて有給休暇を付与しなければなりません。

労働基準法の適用除外となる労働者には、他にも「管理監督者」と「機密事務取扱者」がいます。それぞれの詳細は、以下のページをご覧ください。

管理監督者とは?判断基準や労働時間、有休について
機密事務取扱者

部分的な監視・断続的業務の場合

監視・断続的業務従事者は極めて限定的ですので、部分的にこれらの業務を行うだけでは該当しません。
具体的には、1日の中で通常業務と監視・断続的業務をどちらも行う場合、労働基準法の適用除外を受けることはできません。例えば、午前中はデスクワークを行い、午後から監視業務を行うといったケースです。

なお、日又は週単位で通常業務と監視・断続的業務が入れ替わる場合、該当する日や週のみ対象とすることができます。ただし、業務内容や勤務状況をしっかり記録する必要があるでしょう。

宿日直断続的業務

宿直や日直で断続的業務を行う労働者についても、行政官庁の許可を得ることで、労働時間規制の適用対象外とすることができます(労働基準法施行規則23条)。

ただし、宿日直の断続的業務は「ほとんど労働する必要がない」ことが前提ですので、かなり限定的に解釈されています。よって、通常業務の延長といえるような内容は認められません。例として、

  • 定時的巡回
  • 緊急時の電話対応
  • 非常事態に備えての待機

が断続的業務にあたります。詳しくは以下のページで解説していますので、併せてご覧ください。

宿日直断続的業務

行政官庁の許可による労働時間規制の適用除外

監視・断続的業務従事者を労働時間規制の適用外とするには、行政官庁(労働基準監督署長)の許可を得なければなりません。また、申請の際は、所定の様式に業務の態様や対象人数を記載する必要があります(労働基準法施行規則34条)。

 

監視業務や断続的業務を行っていても、労働基準監督署の許可が下りない限り、労働基準法の規定が適用されます。よって、一般労働者と同様に残業代や休日労働手当の支給対象となります。

もっとも、監視・断続的業務は限定的に捉えられるため、労働基準監督署も厳格に判断する傾向があります。最低限の休憩や休日すら与えなかったり、際限なく働かせたりした場合、許可は下りないでしょう。

また、行政官庁の許可なく労働基準法を適用せず、労働者に健康障害が生じた場合、労災にあたる可能性があります。労災発生時は治療費等の補償だけでなく、損害賠償責任も負う可能性があるためご注意ください。

 

監視・断続的労働従事者に対する適用除外許可申請の内容

労働基準法の適用除外を認めてもらうには、労働基準監督署へ適用除外許可申請書を提出しなければなりません。この申請書には、以下の記載項目が設けられています。

  • 事業の種類(機械製造業、運輸サービス業など)
  • 事業の名称(会社名)
  • 事業の所在地(会社の住所)
  • 業務の種類(守衛、ビル警備員など)
  • 対象人数
  • 労働の態様(始業・終業時刻、休憩時間、業務内容、実作業時間など)

また、適用除外申請書には以下の書類も添付する必要があります。

  • 労働態様に関する資料(所定労働時間のタイムスケジュール、勤務マニュアル、業務日報、巡回経路図、業務対応件数の統計資料、出勤簿など)
  • 対象労働者の労働条件に関する資料(雇用契約書、就業規則、賃金規程など)

※これらの書類を各2部揃え、管轄の労働基準監督署に提出します。
※審査では書類審査の他、労働者個人への聞き取り調査が行われることもあります。

6 労働基準法違反の罰則

監視・断続的業務従事者についても、労働基準法に違反すれば罰則の対象となります。

まず、深夜労働の割増賃金や年次有給休暇を与えない場合、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に科せられます(労働基準法119条)。

また、付与日から起算して年5日以上の有給休暇を取得させなかった場合、該当者1人につき30万円以下の罰金が科せられます(同法120条)。

なお、行政官庁の許可なく、勝手に残業代や休日労働手当を不支給にした場合、又は週1日の法定休日を与えない場合も、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられます(同法119条)。

ちょこっと人事労務

企業の様々な人事・労務問題は弁護士へ

企業側人事労務に関するご相談 初回1時間 来所・zoom相談無料

企業側人事労務に関するご相談 来所・zoom相談無料(初回1時間)

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

0120-630-807

受付時間:平日 10:00~20:00 / 土日祝 10:00~18:30

0120-630-807

平日 10:00~20:00 / 土日祝 10:00~18:30

※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円) ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働法務記事検索

労働分野のコラム・ニューズレター・基礎知識について、こちらから検索することができます