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障害者の虐待防止

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

近年、障害者の日常生活のサポートにあたるご家族や福祉施設の職員が、障害者に対して虐待を行っていたといったニュースが、残念ながら耳に入ることが多いかと思います。厚生労働省の発表によれば、これと同様に、職場における障害者虐待の事実も相当数確認されています。

企業としては、障害者やその周りの従業員だけでなく、事業所及び企業全体の課題として意識改革を行うとともに、障害者虐待の防止、具体的な対応策等の検討に、直ちに踏み切らなければならない段階にきています。

障害のある方が、障害がない方と公平に社会生活を送るためには、職場の理解と協力が不可欠です。このページでは、障害者雇用に関する課題のひとつ、「障害者の虐待防止」について解説していきます。

障害者虐待について

「障害者虐待防止法」における“障害者虐待”とは、次の3種類を意味しています(障害者虐待防止法2条2項)。

  • 養護者による虐待
  • 障害者福祉施設従事者等による虐待
  • 使用者による虐待

このページでは、3つ目の“使用者による虐待”にスポットを当てて説明していきます。

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障害者虐待防止法

障害者への虐待は、障害者の尊厳を深く傷つけるものであり、自立や社会参加を妨げることに繋がります。そこで、平成24年10月11日に施行されたのが「障害者虐待防止法(正式名称:障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)」です。

「障害者虐待防止法」には、使用者などによる障害者への虐待禁止に加え、虐待防止養護者支援のための取り組み、また、虐待の発見者に対する通報義務といった内容が定められています。

障害者虐待防止法における障害者

障害者虐待防止法で保護される「障害者」は、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害含む)・その他心身の機能の障害があって、その障害や社会的な障壁によって日常生活・社会生活に制限を受ける者を指します(障害者虐待防止法2条1項)。

なお、障害者虐待防止法上の「障害者」は、障害者雇用促進法の対象となる「障害者」と同義になります。以下のページでは、身体障害・知的障害・精神障害が具体的に示すものや、障害者手帳の有無が問われるのかどうかなど、さらに詳しい解説を記載していますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。

障害者雇用

障害者虐待防止法における使用者

今度は、“使用者による虐待”の「使用者」が誰のことを指すのか明らかにしておきましょう。障害者虐待防止法2条5項では、次にあげるものが該当すると定義づけています。

  • 障害者を雇用する事業主(例:法人)
  • 事業の経営担当者(例:法人の代表者)
  • 事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者(例:労務管理者、人事担当者)

使用者による障害者虐待

次の①~⑤のような行為が“使用者による虐待”に該当します。具体的な内容を、順に確認していきましょう。

  • ①身体的虐待
  • ②性的虐待
  • ③心理的虐待
  • ④放置等による虐待
  • ⑤経済的虐待

身体的虐待

障害者の身体に対し、つねる、たたく、殴るなどの外傷が生じるおそれがあるような暴行を加えたり、正当な理由なく手足を縛る、監禁するなどして一所に拘束したりすることが「身体的虐待」にあたります(障害者虐待防止法2条8項1号)。

そのほか、熱湯を飲ませる、異物を食べさせる、有害な作業場での業務を強いるといったこともこれにあたると考えられます。

性的虐待

障害者の身体を不必要に触る、性的行為を強要するなど、わいせつな行為をしたり、させたりすることが「性的虐待」にあたります(障害者虐待防止法2条8項2号)。

直接的に身体の接触がなくても、わいせつな画像・映像を見せたり、意図して性的な会話をさせたりすることも、性的虐待に該当するおそれがあります。

心理的虐待

酷く怒鳴る、人格を無視した悪口等の暴言を吐く、拒絶的な態度をとる、ほかの労働者と差別的な扱いをする、わざと恥をかかせるなど、障害者を心理的に著しく傷つける言動が「心理的虐待」にあたります(障害者虐待防止法2条8項3号)。

放置等による虐待

食事を提供する契約であったのに与えないなど、障害者が弱ってしまうほど食事量を減らしたり、仕事を与えず長時間にわたって放置したりすること、ほかの労働者から身体的・性的・心理的虐待を受けているにもかかわらずその状況のまま放置し、健康や安全などへの配慮をしないことなどが「放置等による虐待」になります(障害者虐待防止法2条8項4号)。

経済的虐待

障害者の通帳を勝手に管理して、現金を引き出すなど、財産を不当に処分したり不当に利益を得たりすることが「経済的虐待」に該当します。

そもそも賃金等を支払わない、最低賃金額を割る額で賃金の支払いを行うといったこともこれに含まれます。

使用者による障害者虐待の防止等のための措置

障害者虐待防止法は、次の2つを、事業主が取り組むべき障害者虐待防止措置の柱としてあげています(障害者虐待禁止法21条)。

  • ①研修の実施
  • ②苦情処理体制の整備
  • ③その他の虐待防止のための措置

順に確認していきましょう。

研修の実施

障害者への虐待を防止するためには、企業全体が、障害者の人権や、障害の特性、特性に合わせたかかわり方などをよく理解するとともに、どんな行為が虐待にあたるか、従業員が虐待の事実を見つけたときの行動、報告を受けた企業としての対応などについても、共有していく必要があります。

したがって、事業主には、従業員への研修を実施する、各種研修会への参加を勧めるといったことが求められます。また、職場の従業員同士がオープンに意見を交換できるような、風通しの良い環境をつくることも大切です。

苦情処理体制の整備

事業主は、雇用する障害者やその家族からの苦情・相談を受ける窓口を開設し、その窓口について周知する必要があります。また、事業所内で万が一虐待が発生したときに相談窓口担当と労務管理・人事担当などが迅速に連携を図れるようにしておくなど、適切な対応ができるような体制を整備しておくことが求められます。

企業内での障害者虐待に係る通報等

「使用者」による虐待、あるいは虐待と思われる行為を発見した者には“通報”の義務(障害者虐待防止法22条1項)が、また、虐待を受けた障害者には“届出”の権利(同法22条2項)があります。

具体的には、事業所住所地の、市町村・都道府県の障害者虐待防止に関する窓口へ“通報”あるいは“届出”ると、その内容が都道府県労働局に報告され、労働基準監督署やハローワークと連携した適切な調査・対応がなされる仕組みとなっています。

通報等による不利益な取扱いの禁止

従業員が障害者虐待に関する“通報”や“届出”をしたことを理由に、解雇などとするが「不利益取扱い」は禁止されています。なお、“通報”や“届出”の内容が虚偽のものであったり、あるいは客観的にみて合理性がないものであったりする場合は、そもそもが障害者虐待に関する“通報”や“届出”があったものとはいえないため、この限りではありません(障害者虐待防止法22条4項)。

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虐待が発生した場合の措置

市町村・都道府県による事実の確認等

“通報”や“届出”を受けても、市町村・都道府県には直接是正等の指導をする権限がありません。したがって、障害者虐待に関する“通報”や“届出”を受けた市町村・都道府県は、基本的に当該事業所に協力を仰いだうえで、“通報”・“届出”の内容が事実かどうか、当該障害者の身の安全が確保できているかどうかの確認を行います。

もっとも、事業所が非協力的だったとしても、“通報”・“届出”の内容を鑑み、当該障害者の安全確保が要されると考えられる事案では、速やかに都道府県労働局に報告し、市町村・都道府県、都道府県労働局が連携して対応を検討します。

市町村から都道府県への通知

障害者虐待に関する“通報”・“届出”を受けた市町村は、都道府県に“通知”します(障害者虐待防止法23条)。通知の際には、以下を記載した「労働相談票」を添付します。

  • 虐待を受けた障害者の情報
  • 虐待があった事業所の情報
  • 具体的な虐待の内容 等

なお、“通報”・“届出”の内容を確認すると、障害者虐待の窓口で対応すべきでない事案もあるため、市町村は、都道府県に通知すべき事案を選定する必要があります。

都道府県から都道府県労働局への報告

障害者虐待の発見者からの“通報”、障害者本人からの“届出”、あるいは市町村からの“通知”を受けた都道府県は、事業所を所轄する都道府県労働局に“報告”します(障害者虐待防止法24条)。

具体的には、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ報告することになりますが、報告すべきかどうか判断しかねる事案について、先に照会をかけることもあります。また、都道府県労働局の権限が及ぶことによって早期解決が期待できる事案については、“報告”の手続を踏む前に一報を入れることが望ましいとされています。

都道府県労働局による対応

都道府県労働局は、“報告”の内容から対応する部署を定め、対応の結果を事業所の所在地の都道府県に伝えるまでの役割を担います。

対応する部署としては、雇用環境・均等部(室)のほか、ハローワーク、労働基準監督署等が考えられます。対応部署は、障害者雇用促進法、労働基準法、雇用機会均等法などの法令を遵守し、適正な雇用管理がなされるよう、個別に必要な調査・指導を行います。

都道府県等による障害者支援

使用者からの虐待を受けた障害者に対して、主に次のような分担でサポートを行います。

  • 労働条件・雇用管理に関する事業所への指導:都道府県労働局
  • 障害者への生活支援:市町村・都道府県

虐待を受けた障害者の生活を回復に向かわせるためには、多方面からのサポートが必要となるため、都道府県労働局、市町村、都道府県が連携してサポートにあたることが非常に重要になります。都道府県労働局は都道府県と、都道府県は市町村や障害者就業・生活支援センターと早期に情報を共有し、具体的なサポートの内容を検討します(障害者虐待防止法26条)。

使用者による障害者虐待の状況の公表

使用者による障害者虐待の状況は、年度ごとに厚生労働大臣によって公表されることとなっています。また、使用者による障害者虐待の事実があった場合には、障害者虐待の状況と併せて次にあげる事項も公表の対象となっています(障害者虐待防止法28条)。

  • 事業所の業種・規模
  • 使用者と虐待を受けた障害者との関係
  • 障害者虐待に対する措置(助言・指導等)

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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