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外国人雇用の就業規則|記載事項や母国語による作成について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

外国人労働者を雇用する場合、就業規則の見直しが必要となることがあります。
就業規則は企業の基本ルールを定めたものですので、外国人労働者にも十分理解してもらうことが重要です。また、就業規則の内容を周知することで、労働トラブルの防止にもつながるでしょう。

ただし、外国人労働者にとって不利な内容とならないよう配慮しなければなりません。また、日本語がわからない外国人労働者に向け、周知方法なども検討する必要があります。

本記事では、外国人雇用における就業規則の作成方法や注意点などを解説していきます。ぜひご覧ください。

外国人を雇用する際の就業規則

就業規則の内容は、外国人労働者にも適用されます。

常時10人以上の労働者を雇用する企業は、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出ることが義務付けられていますが、この“10人”には外国人労働者も含まれます(労働基準法89条)。
また、アルバイトやパートタイマーも対象となります。

ただし、外国人労働者は「在留資格」によって業務の範囲が定められているため、通常の就業規則では適応しないケースもあります。また、日本の労働環境に慣れていない外国人にとって、就業規則の内容をすべて理解するのは困難でしょう。

そこで、外国人労働者にも適応するよう、就業規則を見直す必要があります。在留資格に個別に対応できるよう、修正するのが望ましいでしょう。
また、母国語に翻訳するなど、外国人労働者が十分理解できるよう配慮することも重要です。

就業規則のルールについて詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

就業規則の作成意義と法的効力

外国人労働者専用の就業規則の作成可否

外国人労働者専用の就業規則を作成することは、基本的に認められません。
労働基準法3条では、国籍の違いを理由に、賃金や労働時間などの労働条件を変更することが禁止されているためです。

そのため、新たに就業規則を作成するのではなく、従来の就業規則を外国人労働者にも適応するよう見直す必要があります。

この場合、職務内容や雇用形態によって労働条件を変えることは問題ありませんが、日本人労働者と外国人労働者を差別的に取り扱わないよう注意が必要です。

就業規則を母国語で作成する必要性

就業規則を母国語で作成することは義務付けられていませんが、外国人労働者が十分理解できるよう配慮する必要はあります。
例えば、基本的な労働条件や必須ルール、解雇の事由など、重要な部分のみ母国語に翻訳しても良いでしょう。また、やさしい日本語を使い、個別に説明するのも効果的です。

また、助成金の受給にあたり、就業規則の翻訳が必要となるケースもあります。
例えば、「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」の受給要件には、「就業規則等の社内規程の多言語化」が含まれています。

なお、厚生労働省のホームページでは、外国人雇用における支援ツール(外国人向けのモデル就業規則など)が公開されています。ぜひ活用すると良いでしょう。

外国人労働者に向けた就業規則の記載事項

就業規則の記載事項は、以下の3つに分けられます。それぞれどんなものが含まれるのか、次項から詳しくみていきましょう。

絶対的必要記載事項 就業規則に必ず記載しなければならない事項
相対的必要記載事項 社内で制度を設ける場合や、すでに慣行として存在する場合、必ず記載しなければならない事項
任意的記載事項 義務ではないが、トラブル防止などのため任意で記載する事項

絶対的必要記載事項

絶対的必要記載事項は、就業規則に必ず記載しなければならない項目です。以下の3つが該当します。

  • 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交代制の場合には就業時転換に関する事項
  • 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  • 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

1つでも記載がなかった場合、30万円以下の罰金が科せられます(労働基準法120条)。
ただし、一部が記載されていなくても、他の要件を備えていれば就業規則の有効性は維持されます。

入管法を踏まえた賃金規定

外国人労働者の賃金は、入管法で定められた「在留資格」を踏まえ決定する必要があります。

在留資格とは、外国人が日本に滞在したり、日本で一定の活動を行ったりするための資格です。
以下のような専門性の高い在留資格をもつ者には、日本人と同等以上の報酬を支払わなければならないとされています。

  • 経営・管理
  • 研究
  • 教育
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 介護
  • 技能
  • 興行(月額20万円以上)

具体的な金額は、同じ職務を行う日本人の報酬額に合わせるか、他の企業で同種の職務を行う日本人の報酬額を参考にするなどの方法で決定します。

日本人の平均賃金を下回ると、在留資格が認められない可能性があるため注意が必要です。
また、在留資格がない外国人を雇用した場合、労働者本人だけでなく企業も罰則の対象となります。

相対的必要記載事項

相対的必要記載事項は、社内で制度が設けられている場合に記載すべき項目です。また、すでに慣行として存在しており、日常的に行われているものも含まれます。

該当するのは、以下の項目です。

  • 退職手当に関する事項(適用される労働者の範囲、決定方法、計算方法、支払方法、支払時期など)
  • 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項
  • 食費・作業用品などの負担に関する事項
  • 安全衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰・制裁に関する事項
  • その他全労働者に適用される事項

在留資格を踏まえた配転・職務変更

外国人労働者は、在留資格に適合する業務にのみ従事することができます。
そのため、外国人労働者の配置転換や職務変更を行う場合、在留資格の変更申請が必要となります。

変更手続きは、在留資格変更許可申請書や雇用契約書のコピーなどを揃え、入国管理局へ届けます。審査には数ヶ月かかることもあるため、早めに対応しましょう。

ただし、所有する在留資格の範囲内での異動であれば、変更申請は必要ありません。
例えば、「研究開発職」から「通訳・翻訳業務」に変更する場合、どちらも「技術・人文知識・国際業務」にあたるため、在留資格を変更する必要はありません。

任意的記載事項

任意的記載事項は、企業が任意で就業規則に記載できる項目です。また、記載内容も企業が自由に決めることができます。例えば、以下のような項目を記載するのが一般的です。

  • 就業規則の趣旨や目的
  • 企業理念
  • 服務規律

ただし、外国人労働者にとって不合理な内容や、国籍による差別を助長するような内容を記載することは避けましょう。

外国人労働者へ就業規則の周知義務

就業規則の内容は、労働者に周知することが義務付けられています(労働基準法106条)。
外国人労働者に対しては、母国語ややさしい日本語で周知するなど、内容を十分理解できるよう配慮することが重要です。

周知の方法としては、以下のようなものがあります。

  • 事業場の見やすい場所に掲示する(作業場、食堂、更衣室など)
  • 労働者が自由に閲覧できる場所に備え付ける
  • 書面で交付する
  • メールや回覧に添付する
  • ディスクなどに保存し、労働者がパソコンで閲覧できるようにする

就業規則を作成・変更する際の注意点

就業規則を作成・変更する場合、過半数労働組合又は労働者の過半数を代表する者の意見を聴取し、意見書を作成しなければなりません(労働基準法90条)。

なお、外国人労働者であっても、「労働者の過半数を代表する者」になることができます(管理監督者を除く)。
就業規則の内容を十分理解してもらうためにも、外国人労働者を選任するのは有効といえるでしょう。

ただし、選任する際は、投票や選挙など民主的な方法で行う必要があります。

就業規則による不利益変更について

労働条件の不利益変更を行う場合、企業が一方的に就業規則を変更することは認められないのが基本です(労働基準法9条)。

不利益変更とは、労働者の労働条件を不利な内容に変更することをいい、労働者から個別に合意を得たうえで行うことが義務付けられています。
また、外国人労働者の労働条件を引き下げると、ビザ更新時に入国管理局から指摘される可能性もあるため注意が必要です。

ただし、以下の事情を考慮し、合理的な理由がある場合、就業規則の変更によって不利益変更が認められる可能性があります。

  • 労働者の受ける不利益の程度
  • 労働条件変更の必要性
  • 変更後の就業規則の相当性
  • 労働組合等との交渉の状況
  • その他就業規則の変更にかかる事項
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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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