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不当労働行為の救済手続きについて

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員弁護士家永 勲(東京弁護士会)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働者と使用者が対等な関係を築くために、労働者には、使用者の不当労働行為に対抗するための救済制度の利用が認められています。

本ページでは、不当労働行為に対する救済制度の概要や、救済申立てがあった場合、ひいては救済命令、訴訟や審判による救済が確定した場合に使用者に求められる対応・注意点等に触れ、説明していきます。

不当労働行為の救済申立て制度

使用者に不当労働行為があったと思われる場合、労働者や労働組合は、労働委員会に対して救済申立てをすることができます。これを、不当労働行為の救済制度といいます。

申立てを受けた労働委員会は、遅滞なく当該不当労働行為の有無の調査、審問を行わなければならず、不当労働行為の事実が認められた場合には、救済命令又は和解による救済を図ります。ただし、救済の対象となるのは不当労働行為があった日から1年以内のものに限ります(労組法27条)。

なお、【不当労働行為】についての詳しい説明は、以下のページをご覧ください。

不当労働行為について

救済申立てに対する会社側の対応

労働者や労働組合から不当労働行為の救済申立てがなされると、労働委員会から使用者へ申立書の写しが送付されます。使用者は、申立書の内容を確認し、申立書の送付から原則10日以内に、使用者側の反論を記載した答弁書を労働委員会に提出しなければなりません。また、答弁書には、使用者側の主張に紐づく証拠を添付する必要があります。

労働委員会は、これらの提出書類、証拠等による調査結果をもとに、審問の手続を進めていくことになります。

労働委員会による救済命令

労働委員会は、労働組合を擁護し、使用者との労働関係の調整を図るために設けられた行政機関です。都道府県の管轄となる都道府県労働委員会と、国の管轄となる中央労働委員会の2種類があり、いずれも使用者委員(使用者団体の推薦を得た者)、労働者委員(労働組合の推薦を得た者)、公益委員(学識経験者等)の三者で構成されます。

審問の後、公益委員会の合議により使用者の不当労働行為の全部又は一部が認定された場合、労働委員会の裁量で事案の内容に応じた適切な救済命令を発します。

例えば、「不利益取扱い」による解雇に対しては原職復帰命令、バックペイ(不当解雇期間中の賃金支払)命令、「団体交渉拒否」に対しては誠実交渉命令、「支配介入」に対しては具体的な支配介入行為の禁止命令、ポストノーティス(救済内容を記した命令、陳謝等を内容とする文書を指定する場所に掲示させる)命令等が考えられます。

救済命令に対する会社側の対応

都道府県労働委員会の救済命令に不服がある使用者は、命令交付から15日以内に中央労働委員会に対して再審査の申立てをするか、命令交付から30日以内に裁判所に対して、行政処分である救済命令の取消訴訟を提起することができます。

いずれの方法によっても不服申立てをしない場合には、救済命令が確定し、命令交付の日からその効力が生じるため、使用者は遅滞なく命令を履行する必要があります。履行しない使用者には50万円以下の過料の罰則が適用されます。

また、取消訴訟の結果、裁判所の支持により救済命令が確定した場合、命令違反の使用者には1年以下の禁固又は100万円以下の罰金の罰則が適用されます。

司法的な救済方法

司法的な救済方法とは、裁判所での訴訟や労働審判を利用して労使間の紛争の解決を図る方法を指します。具体的な救済の内容は、<3労働委員会による救済命令>の例にあげたように、不当労働行為の類型によって異なります。

法律行為の無効

不当労働行為の禁止を規定する労働組合法7条は、最高裁において私法上の強行法規としての効果があるものとされています(最高裁 昭和43年4月9日第三小法廷判決、医療法人新光会解雇事件)。

したがって、私法上の違法行為にあたる不当労働行為の事実が使用者に認められた場合、その行為は無効となります。例えば、上記判例では「不利益取扱い」の不当労働行為にあたる解雇の効力が争点になっているほか、懲戒処分、配転命令等の効力が無効と判断されるおそれがあります。

損害賠償

労働組合の結成、運営への干渉等のような「支配介入」や不誠実団交等のような「団体交渉拒否」の不当労働行為に対しては、不法行為に基づく損害賠償の請求がなされるおそれがあります。

団体交渉を求めうる地位の確認訴訟又は仮処分

使用者に「団体交渉拒否」の不当労働行為が認められた場合であっても、その法的効力は当該行為の禁止に留まり、労働者に対して当然に団体交渉の請求権が認められるわけではありません。そのため、労働者は団体交渉を求める地位の確認及び仮処分の申立てを行い、交渉事項に該当するかどうかの法的な判断を仰ぐことができるとされています。

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