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裁判員休暇|従業員が選任された場合の会社の対応について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

2009年5月から始まった「裁判員制度」ですが、労働者が裁判員に選任された場合、使用者は、当該労働者に特別休暇を付与しなければなりません。これを「裁判員休暇」といいます。

本記事では、「裁判員休暇」の概要や特別休暇全般に共通する問題に関する説明をはじめ、給与支払いの必要性の有無や不選任となった場合の対応等、独自に生じる問題についても解説します。

裁判員休暇の概要

国によって選任される「裁判員の職務」は「公の職務」に当たります。したがって、使用者は、裁判員等に選ばれた労働者から請求を受けた場合には、当該労働者に「裁判員休暇」を付与しなければなりません(労働基準法7条)。「裁判員休暇」とは、公民権行使にかかる休暇のひとつで、文字どおり「裁判員としての職務を執行するために必要な時間」をいいます。

そもそも、裁判員制度とは、2009年5月21日に始まった日本の司法制度で、事件ごとに国民の中から選ばれた裁判員が、裁判官と共に一定の重大な刑事裁判の審理に参加するものです。裁判官への選任は基本的に辞退できず、また、平日に行われる裁判と労働日が重なった場合には、裁判員としての職務を優先することになります。

労働基準法7条が保障する、公民権行使にかかる休暇の詳細については、下記の記事をご覧ください。

従業員の公民権行使のための休暇
労働基準法

(公民権行使の保障)第7条
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

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裁判員等の職務の執行に必要な日数

職務の執行に必要な日数は、裁判員候補者に留まるか、裁判員として正式に選任されるかで異なります。

裁判員候補者になった場合、選任手続の当日に、裁判官による面接を受けるために裁判所へ出向く必要がありますが、選任されなかった場合には、その後時間的に拘束されることはありません。

これに対して、正式に裁判員として選任された場合には、その後の裁判手続に参加することになります。なお、5日前後で審理が終了するケースが多い(裁判所発行「よくわかる!裁判員制度Q&A(第13版)」より)ようです。

裁判員休暇の日数に関する法律上の定めはないので、以下の数字を目安に就業規則を作成すると良いでしょう。

  • ・裁判員候補者:1日
  • ・裁判員:5日前後

裁判員休暇中の給与

法律上、裁判員休暇中の給与支払いに関する定めはないので、有給とするか無給とするかは、使用者の判断に委ねられることになります。したがって、無給としても違法ではありません。その場合でも、裁判員として選任された労働者は、交通費とは別に裁判員としての日当をもらうことができます。

なお、有給とする場合、報酬の二重取りに当たるのではないか、あるいはどの程度支払うべきかといった疑問が出てくるかと思いますが、こうした疑問に関しては次項以下で解説しています。

有給とした場合、報酬の二重取りに当たるか?

裁判員休暇を有給とする場合、裁判員としての日当と会社の給与の両方を受け取ることができます。

報酬の二重取りに当たるのではないかという疑問が生じ得ますが、裁判員としての日当は、「裁判員としての職務等の遂行により生じる損失を一定の限度で弁償(補償)するもの」です。つまり、あくまで損失の補償を目的とするものであって、裁判員としての職務に対する報酬ではありません

したがって、労働者としての勤労に対する報酬である給与とは性質が異なるものであるため、両方を受け取っても報酬の二重取りには当たりません

日当と給与の差額支給は可能か?

裁判員休暇中の給与の支払いに関しては、使用者の判断に委ねられるという前提があります。そのため、例えば、「労働者が裁判員休暇を取得した場合、当該休暇日の1日分の給与額(例:1万8000円)と裁判所から受領した日当額(例:1万円)との差額(例:8000円)を支給する」といった、日当と給与を比較してその差額を支払うような、特別の有給休暇制度にすることも問題はありません。ただし、このように運用する場合、就業規則にその旨を明記する必要があります。

これに対して、日当が給与より高い場合にその差額を会社に納めるよう求めることは、後述する裁判員法100条が禁止する「不利益取扱い」に該当するおそれがあるため許されません。

休暇取得後に不選任となった場合の対応

1件の裁判につき、50~70人の裁判員候補者が選任手続に参加することになりますが、最終的に選任されるのは、裁判員6人と補充裁判員若干名だけです。したがって、裁判員休暇を取得したとしても、大多数が不選任となります。

裁判員選任手続は2時間程度で終了するため、例えば裁判員選任手続が午前中に行われ、裁判員に選任されなかった場合に、午後から休暇を取りやめて出社させるか、そのまま休暇とするかは、事前に就業規則で定めておく必要があるでしょう。

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裁判員選任の報告義務を課すことは許されるか?

裁判員法101条1項は、裁判員等に選ばれた者の氏名、住所その他個人を特定するに足りる情報を公にすることを禁止します。とはいえ、「公にする」とは、このような情報を不特定または多数人の知り得る状態に置くことをいうので、裁判員候補者となった労働者が、休暇を申請するために使用者に報告することは問題ありません

よって、裁判員等に選ばれた労働者が一定期間労働に従事できないため、労働者の勤務体制の変更等を行わなければならないといった合理的な必要性がある場合に、当該必要性の範囲内で、次の①~③の報告を義務づけること自体は、裁判員法に違反しないと解されるでしょう。

  • ①裁判員候補者名簿記載通知の送付を受けたこと
  • ②候補者として呼び出しを受けたこと
  • ③裁判員・補充裁判員に選ばれたこと
裁判員法

(裁判員等を特定するに足りる情報の取扱い) 第101条
1 何人も、裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員又は裁判員候補者若しくはその予定者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報を公にしてはならない。これらであった者の氏名、住所その他の個人を特定するに足りる情報についても、本人がこれを公にすることに同意している場合を除き、同様とする。

不利益取扱いの禁止

裁判員法100条は、労働者が裁判員休暇を取得したこと等を理由に、解雇その他不利益な取扱いをすることを禁止しています。

不利益な取扱いとは、例えば、全労働日の80%以上に出勤した労働者に与えなければならない「有給休暇」の付与義務の判断に際して、裁判員休暇日を全労働日に含めて出勤率を算定するようなことをいいます。なぜなら、本来であれば、裁判員休暇の出勤率の算定にあたっては、全労働日から裁判員休暇日を除外するべきであるからです。なお、労使間の合意で「出勤したもの」と認める等、労働者に有利に取り扱うことは何ら問題ありません。

裁判員法

(不利益取扱いの禁止)第100条
労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したことその他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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