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労働契約

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

人を雇うときには、雇用する側(会社)と働く人との間で契約を結ぶ必要があります。このときに結ばれる契約のひとつが「労働契約」です。

労働契約はとても重要な契約なので、正しく理解しないまま結ぶと後々トラブルに発展しかねません。しかし、具体的にどのような契約なのか、どういった内容を定める必要があるのかなど、疑問や不安を抱えている方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、「労働契約」の基本的な知識についてわかりやすく説明していきます。

「労働契約」の定義

労働契約とは、労働者が使用者の指揮命令に従って働くことを約束し、使用者がその報酬として賃金を支払うことを約束する契約をいいます(労契法6条)。

労働契約は、労働者と使用者が、
労働者が使用者の指揮・命令の下で労務を提供すること
使用者が対価として賃金等を支払うこと
の2点について合意することで成立します。

なお、労働契約の内容は労使間で自由に決められるのが基本ですが、労働基準法によって、労働条件の最低基準が決められているので注意が必要です。
また、労使間のトラブルを防ぐための基本的なルールを定めた、労働契約法という法律もあります。

労働契約法
(労働契約の成立)第6条

労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

労働契約における「労働者」と「使用者」

労働契約上での「労働者」とは、使用者に使用されて働き、労働の対価として賃金を受け取る者のことをいいます。

「労働者」に当たるかどうかは、

・どのように働いているのか(仕事の依頼や業務の指示等に対する諾否の自由の有無等)
・賃金が労働の対価といえるか
等の点を考慮して、使用者の指揮命令下で働いていたと認められるかどうかで判断します(最高裁 平成8年11月28日第1小法廷判決等)。

法律による定義の違いなど、労働者についてより詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

労働者について

これに対し「使用者」とは、労働者を使用する立場にあり、労働者に対して賃金を支払う者を指します。
具体的にいえば、個人事業主の場合はその個人が、会社など法人の場合はその法人自身が使用者となります。

労働契約と雇用契約の違い

「労働契約」と似た言葉で、「雇用契約」という言葉を耳にすることがあるかと思います。この2つの言葉は、名称は違うものの、一般的には同じような意味で使われています。

もっとも、民法や労働関係法の様々な場所で登場する「労働者」についてみれば、たとえば労働組合法上の「労働者」が労働基準法上の「労働者」とは違う意味で用いられているように、同じ言葉でもその意味が一致するとは限らないはないことには注意が必要です。

労働契約と業務委託契約の違い

混同されがちですが、労働契約と業務委託契約も異なります。

業務委託契約とは、一方(受託者)が他方(委託者)から委託・注文された特定の仕事の処理や仕事の完成を約束し、委託者がその対価として報酬を支払うことを約束する契約をいいます。

労働契約との一番の違いは、業務委託契約の当事者は「労働者」と「使用者」の関係にないということです。そのため、労働契約とは異なり、業務委託契約では注文者が他方に対して具体的な指揮命令を行うことはできません、当事者はあくまで対等な立場にあります。

なお、業務委託契約であるにもかかわらず、実際には注文者の指揮命令下で働いているなど、実態が労働契約であると判断されると、場合によっては「偽装請負」として罰則が科されてしまうことがありうるので注意が必要です。

労働契約法の概要

労働契約法とは、平成20年3月1日に施行された、労働契約に関する基本的なルールを定めた法律です。

労働契約法の条文の多くは裁判で確立された考え方を明文化したもので、労使間のトラブルを未然に防ぐために、労働者と使用者がそれぞれ気をつけるべき行動の規範として制定されました。

具体的には、

・労働契約が合意により成立し又は変更されるという合意の原則(労契法1条、同法3条1項)
・労働者の健康や安全への使用者の配慮(同法5条)
・労働契約の一方的な不利益変更の禁止(同法9条)
・解雇権の濫用の防止(同法16条)
など、労働者と使用者が対等な立場で、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにするためのルールが定められています。

なお、労働基準法とは違い、違反した場合の罰則は設けられていません。

労働契約法の適用範囲

労働契約法は、基本的に労働者と使用者の間で結ばれたすべての労働契約に適用されます。しかし、下記に挙げるように、労働契約法の全部または一部が適用されないケースもあります。

国家公務員・地方公務員であるケース(労契法21条1項)

国家公務員や地方公務員は、国や自治体から任命されて働いているのであって、国や自治体に雇われているわけではありません。つまり労働契約を結んでいないので、労働契約法の適用対象外とされています。

同居している親族だけを使用する労働契約を結んでいるケース(同条2項)

同居している親族は、経済的に強く結びついていることが多いため、一般の労使関係と同じように扱うべきではありません。そのため、同居中の親族だけを使用する労働契約には、労働契約法が適用されません。

船員法の適用を受けるケース(同法20条1項)

船員法には、労働契約法12条(就業規則違反の労働契約に関する規定)と同様の規定や、有期労働契約に関する特別な規定があるので、船員法が適用される船員には労働契約法12条と同法第4章の規定が適用されません。

「労働契約」の基本原則

労働契約法3条には、以下のように、労働契約の締結や変更に関する5つの基本原則が定められています。

労働契約法
(労働契約の原則)第3条

  • 1労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
  • 2労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
  • 3労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
  • 4労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。
  • 5労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

労使対等の原則

労使対等の原則とは、当事者である労働者と使用者が対等な立場で行った合意がなければ、労働契約を締結・変更できないとする決まりであり、労働契約の基本原則の一つです。

そもそも、契約というものは当事者の合意によって締結・変更されるものですが、労働者と使用者との間では、その力関係に不平等が存在しているのが実際です。

労働契約法は、このような現実を踏まえ、労使があくまで対等な立場で合意しなければならないことを確認しています。

均衡考慮の原則

均衡考慮の原則とは、労働契約を締結・変更するときは、就業の実態に見合った内容にしなければならないという決まりです。

簡単にいうと、使用者は、労働者の仕事内容や責任の重さ、配置転換の有無、勤務時間などを考慮して、働きに見合った賃金を支払ったり、適切な福利厚生の待遇を与えたりしなければなりません。

仕事と生活の調和ヘの配慮の原則

使用者は、労働契約を締結・変更する際には、労働者のワーク・ライフ・バランスの実現に配慮しなければなりません。これを、仕事と生活の調和への配慮の原則といいます。近年、仕事と生活の調和が重要となっていることから、この重要性が改めて認識されるよう、規定が設けられました。

この原則に基づいて、使用者には「育児や介護をしている労働者が仕事と両立できるよう、時短勤務を認める」といったような配慮が求められます。

信義誠実の原則

労働契約を結んだ当事者は、信義誠実の原則に基づき、信義に従って誠実に労働契約を守らなければなりません。この原則は、使用者だけではなく労働者も遵守する必要があります。
信義誠実の原則を遵守することは、労働に関連する諸々のトラブルを未然に防止するうえでとても重要です。

権利濫用の禁止の原則

労働契約の当事者は、たとえ労働契約に基づき与えられた権利であっても、これを濫用することは認められません。これは契約の一般原則ですが、労使間のトラブルでは、権利濫用に該当する行為が行われる危険性が高いことから、あえて規定が置かれたものです。

「労働契約」の締結

労働契約は、労働者が「使用者の指揮命令の下で労働すること」、使用者が「労働の対価として賃金を支払うこと」に合意することで成立します(労契法6条)。

労働契約は、口約束でも成立するので、必ず労働契約書を作成しなければならないわけではありません。

しかし、口約束だけでは、後々言った・言わないのトラブルとなり、弱い立場にある労働者が不利な条件を呑まされてしまう可能性があります。

そのため、労働基準法では、使用者に対して、労働者に一定の労働条件を明記した書面(労働条件通知書など)を交付することを義務づけています(労基法15条1項、労働基準法施行規則5条4項)。

書面に記載しなければならない労働条件や、労働条件通知書の詳細については、次項以下をご覧ください。

労働条件の明示

労働契約を結ぶときは、使用者は労働者に労働条件通知書を送付するなどして、労働条件を明示しなければなりません
具体的には、絶対的明示事項相対的明示事項に該当する労働条件の明示が義務づけられています。
なお、それぞれ明示方法が異なることにご注意ください。

  • 絶対的明示事項…必ず示さなければならない労働条件(例:賃金や労働期間に関するもの)
    明示方法:書面(労働条件通知書)に明記して交付
  • 相対的明示事項…使用者が決まりを設けている場合に示さなければならない労働条件(例:退職手当や休職に関するもの)
    明示方法:書面又は口頭で明示(労働者に周知されている、合理的な内容の就業規則で定められている場合は、就業規則を交付するだけで十分です)

どのような労働条件が絶対的明示事項や相対的明示事項に該当するのか、詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

明示すべき労働条件の内容

労働契約書(雇用契約書)と労働条件通知書の違い

労働契約書も労働条件通知書も、どちらも労働条件を明示する書面である点で共通しています。しかし、大きな違いもあります。
すなわち、労働契約書(雇用契約書)は、労使間で労働契約(雇用契約)が成立したことや、成立した労働契約の内容を証明するために作成される書面です。

これに対し、労働条件通知書は、使用者が、労働基準法上の労働条件明示義務を果たすべく、労働者に労働条件を明示するためのツールとして作成される書面です。

このように、両者には、書面が作成される目的に違いがあるといえます。

また、労働契約書の作成は義務づけられていないのに対して、労働条件通知書は、他に労働条件を明記した書面がなければ必ず作成しなければなりません。つまり、作成が義務づけられるかどうかという点にも違いがあるといえます。

労働契約の内容と確認

労働契約を結ぶにあたり、使用者は、労働契約の内容について、労働者がきちんと理解したうえで労働できるよう努める必要があります(労契法4条1項)。また、労働契約の内容は可能なかぎり書面で確認することが求められています(同条2項)。

なぜなら、労働契約は労使間の合意だけで成立するものの、労働者が契約内容を十分に理解しないまま締結・変更してしまうと、将来トラブルに発展する可能性が高いからです。

そこで、労働契約の内容について理解の促進を目的とした規定が設けられました。

「労働契約」の変更

労働契約の内容である労働条件を変更する際は、労働者と使用者双方が合意しなければなりません(労契法8条)。

双方の合意なく一方的に就業規則の変更を行ったことにより、労働者に不利益となる労働契約の労働条件への変更はできないのが原則です(同法9条本文)。不利益変更の例としては、賃金の引き下げ、退職金の減額、所定休日の削減など、労働条件を労働者に不利益な方向に変更するものが挙げられます。

ただし、次の要件を満たす場合には、例外的に、合意に基づかない就業規則の変更によって労働条件を変えることが認められます(同法9条ただし書、10条本文)。

  • 使用者が変更後の就業規則を労働者に周知させたこと
  • 変更の内容が合理的であること
    ※合理的かどうかは、変更によって労働者が受ける不利益の大きさ・労働条件を変更する必要性・変更後の就業規則の内容の相当性・不利益を埋め合わせる措置とのバランス・労働組合等との交渉の状況などの事情を考慮して判断されます。

「労働契約」の終了

期間の定めのない労働契約は、

退職…労働者からの申し出によって労働契約を解約すること
合意解約…労使間の合意によって労働契約を解約すること
解雇…使用者が一方的に労働契約を解約すること
などによって終了します。

一口に退職や解雇といっても、それぞれ複数の種類があり、適切な対応も異なります。トラブルを未然に防ぐためにも、退職・解雇に関する知識をまとめた下記の記事をぜひ一度ご確認ください。

退職・解雇による労働契約の終了と証明書の交付義務

解雇権濫用法理について

解雇権濫用法理とは、客観的にみて合理的な理由がなく、社会通念(常識)からして相当と認められない解雇が行われた場合に、使用者が権利を濫用したものとして解雇を無効にするルールです(労契法16条)。

解雇は一方的に労働者の生活の糧を奪う重大な行為なので、労働者の権利を守るために、使用者の解雇権を一定程度制限する規定が定められました。

なお、解雇には普通解雇懲戒解雇整理解雇の3類型に分けられるのが一般的ですが、それぞれ適法な解雇として認められるための要件が定められています。なかでも整理解雇の要件に関する説明は、下記の記事でご確認いただけます。

整理解雇の4要件

また、解雇と間違われやすい言葉で「退職勧奨」というものがあります。執拗な退職勧奨は、違法行為として損害賠償請求の対象となる可能性もあります。下記の記事で解説していますので、トラブルを回避するためにも一読をおすすめします。

退職勧奨の注意点

期間の定めがある労働契約(有期労働契約)

有期労働契約とは、使用者と労働者が契約期間を定めて結ぶ労働契約のことをいいます。

有期労働契約の契約期間の上限は3年と定められています(労基法14条1項本文)。しかし、専門的かつ高度な知識・技術・経験のある労働者(公認会計士・医師・弁護士など)や、満60歳以上の労働者と有期労働契約を結ぶ場合は、例外的に契約期間を5年とすることが認められます(同項1号、2号)。

期間の定めがある労働契約(有期労働契約)は、基本的には、契約期間が満了すると自動的に終了します。もっとも、契約期間の途中で労働者を解雇して契約を終了させるためには、「やむを得ない事由」が必要となりますので注意が必要です(労契法17条1項)。

また、使用者には、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして必要以上に短い期間を定めることにより、有期労働契約を繰り返し更新させることがないよう配慮することが求められます(同条2項)。

より詳しい説明をご覧になりたい方は、下記の記事をご参照ください。

有期労働契約

有期労働契約に関する法改正

労働者の雇止めに対する不安を解消するべく、平成24年の労働契約法の改正により、有期労働契約に関するルールが新たに設けられました。

無期労働契約への転換(労契法18条)
同じ使用者との有期労働契約が通算5年を超えて繰り返し更新されたときは、労働者の申込みによって、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換することができます。

「雇止め法理」の法定化(同法19条)
次のような事情があり、使用者による雇止めが客観的にみて合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないケースでの使用者の雇止めを禁止し、労働者からの申込みによりそれまでと同じ労働条件で有期労働契約が成立します。

  • 有期労働契約が繰り返し更新されたことで、雇止めをすることが社会通念からみて解雇と同視できると認められること
  • 労働者が有期労働契約の更新を期待する合理的な理由があると認められること

また、令和2年6月から施行されているパートタイム・有期雇用労働法(正式名称「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)により、有期労働契約に関するルールが新たに設けられています。

※中小企業における同法の適用は、令和3年4月1日からとされています。

差別的取扱いの禁止(パートタイム・有期雇用労働法9条)
同じ使用者と労働契約を結んでいる労働者間で、職務の内容が通常の労働者と同一の有期雇用労働者であって、その職務の内容及び配置変更の範囲が同じであると見込まれるものについて、有期雇用労働者であることを理由として、差別的取扱いをすることが禁止されています。
具体的には、同じような業務で同じくらいの責任がある仕事をしているにもかかわらず、無期労働契約者の賃金と比べて有期労働契約者の賃金を少なく設定するといった差別が禁止されます。

労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(同法14条)
使用者は、有期雇用労働者を含む非正規雇用労働者から「正規雇用労働者との待遇差の内容や理由」などについて説明を求められた場合は、説明が義務付けられるようになりました。

労働者への安全配慮義務

使用者は、労働契約に基づいて、賃金支払義務のほかに労働者に対する安全配慮義務も負います(労契法5条)。安全配慮義務とは、働くうえで発生する、生命・身体等への危険から労働者を守るために配慮しなければならない使用者の義務のことをいいます。

使用者(安全衛生法では事業主)が講じることが求められる具体的な措置は、労働安全衛生法をはじめとする、労働安全衛生に関連する各種の法令に規定されています。詳しい説明は下記の記事をご覧ください。

労働安全衛生法

労働契約、就業規則、労働協約、法令の関係

労働契約は、関連する法令や就業規則、労働協約などとどのような関係性にあるのでしょうか?
例えば、それぞれがばらばらに賃金について定めたような場合にどの規定を適用したら良いのか、優先順位が問題となります。

この点、労働問題に関連する規定の優先順位は、次のようになっています。

法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約

一番に優先されるのは、労働基準法等をはじめとする「法令(強行法規)」です。次に「労働協約(使用者と労働組合が合意のうえ定めた取り決め)」が、その次に「就業規則(使用者が定める、労働者が守るべき職場のルール)」が優先されます。

より優先度の高い規定の内容に反した規定を設けることはできないので、労働契約は、他のどの規定にも反しない内容にしなければなりません。

例えば、就業規則で時給1700円と定められている場合に、個別の労働契約で1700円を下回る時給にすることはできません。もし時給1200円で労働契約を結んだとしても、時給に関する契約部分は無効になって就業規則の内容が適用されるので、時給は1700円となります。

就業規則や労働協約が具体的にどういったルールを定めているのかなど、気になる方はぜひ下記の各記事をご覧ください。

就業規則とは | 作成の意義と法的効力
労働協約

「労働契約」の禁止事項

労働者に労働契約違反があった場合に、会社側がその労働者に一定のペナルティを課すことは禁止されています。
法律でも、労働者の不当な会社への拘束を防ぐため、労使間で労働契約を結ぶ際に盛り込んではならない内容が定められています。

本項では、労働契約の禁止事項について詳しく説明していきます。

賠償予定

賠償予定とは、労働者が労働契約に違反した場合の違約金や、支払わなければならない損害賠償金の額をあらかじめ決めておくことをいいます。労働契約にこの賠償予定を盛り込むことはできません(労基法16条)。

具体的にどのような規定が賠償予定に当たるのかというと、

・労働者が契約期間の途中で退職した場合に、違約金を支払うことを約束させるもの
・会社の備品などを壊したときに支払う損害賠償金の額を事前に定めるもの
などが例として挙げられます。

ただし、実際に労働者が発生させた損害の賠償を請求することが禁止されているわけではありません。

前借金相殺

前借金相殺とは、労働者が後の賃金で返済することを約束して使用者から借り受けた金銭について、使用者がその後の賃金から一方的に天引きして返済させることをいいます。このような規定を労働契約に盛り込むことも、労働基準法で禁止されています(労基法17条)。

強制貯金

強制貯金とは、賃金の一部を強制的に貯蓄させる、又は使用者が労働者の貯蓄金を管理することをいいます。たとえ社員旅行のための積立てといった理由があっても、こうした強制貯金の規定を労働契約に盛り込むことは許されません(労基法18条1項)。

ただし、社内預金制度などを利用し、労働者の委託を受けて労働者の貯蓄金を管理することは、一定の規制の下で認められています。

黄犬契約

黄犬契約とは、労働者が労働組合に加入しないこと又は労働組合から脱退することを条件とする労働契約のことをいいます。
このような労働契約を結ぶことを認めると、労働組合の団結権が侵害されてしまうため禁止されています(憲法28条、労組法7条1号後段)。

労働契約法違反に対する罰則

労働基準法とは違い、労働契約法には違反した場合の罰則が定められていません。また、労働基準監督官による監督・指導の対象になりませんし、刑事罰が科されることもありません。

とはいえ、民事訴訟などに発展した場合には、損害賠償金などの支払いが命じられる可能性もあるので注意しましょう。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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