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国際労働裁判の国際裁判管轄について

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

外国人労働者を日本で雇用する場合や、日本人が海外で働く場合、様々な国際労働問題の発生に備える必要があります。また、紛争が裁判に発展した場合、国際労働裁判として争わなければなりません。

国際労働裁判では、まずどの国の裁判所で裁判を行うべきかを判断することが必要です。この点、裁判の管轄権については法律で明示されていますので、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。

本記事では、国際労働裁判における国際裁判管轄に焦点をあて、その規定や選択方法等について解説していきます。今後のグローバル化の進行に備え、ぜひご一読ください。

国際労働裁判における国際裁判管轄

国際裁判管轄とは、国際的な紛争が発生した際に、いずれかの国の裁判所が有する裁判権をいいます。つまり、どの国の裁判所で裁判を行うのかという問題です。

日本における国際裁判管轄の規定は、民事訴訟法で定められています。したがって、どの国の裁判所に管轄権が認められるかは、基本的に民事訴訟法に沿って判断されます。

同法によると、国際労働問題では、労働者の居住地や会社の所在地によって管轄権の帰属が異なると定められています。
では、日本の裁判所に国際裁判管轄が認められるのは具体的にどういったケースでしょうか。以下で解説していきます。

なお、国際労働裁判では、裁判管轄以外にも押さえておくべきポイントが多いです。詳しくは以下のページで解説していますので、併せてご覧ください。

国際労働裁判

民事訴訟法の改正

かつての日本には、国際裁判管轄に関する明示的な規定がありませんでした。そのため、国際裁判管轄の有無については、判例の準則に従い個別的に判断されてきました。

しかし、このような重要事項に関する法律の規定がないことは、当事者の予測可能性や法的安定性を阻害することも問題視されていました。

そこで、平成24年4月の民事訴訟法改正において、国際裁判管轄のルールを明文化した規定が含まれることとなりました。これにより、日本の裁判所に管轄権が認められるケースについて判断しやすくなったといえます。

労働審判法の改正

国際労働問題は、裁判でなく労働審判で解決することも可能です。労働審判とは、不当解雇や未払い賃金といった個別労働紛争について、労働審判委員会を挟んだ話合いによって解決を目指す手続きです。話合いで解決ができない場合、最終的に労働審判委員会が判断(審判)を下すことになります。

労働審判の管轄については、労働審判法2条1項で以下のとおり規定されています。

  • 相手方の住所、居所、営業所若しくは事務所の所在地を管轄する地方裁判所
  • 個別労働紛争の当事者である労働者が、現に就業する若しくは最後に就業した事業主の事業所の所在地を管轄する地方裁判所
  • 当事者が合意で定める地方裁判所

また、相手方の住所や事業所が日本国内にない場合も、基本的に日本の地方裁判所に管轄が認められます(同法2条2~4項)。

なお、労働審判の結果に不服がある場合、異議申立ても認められています。異議申立ての管轄については、当該労働審判が行われた際に労働審判事件が係属していた地方裁判所に訴えの提起があったものとみなすとされています(同法22条1項)。

ただし、民事訴訟法の改正に伴い、民事訴訟法の規定により日本の裁判所が管轄権を有しない場合、その訴えを却下するとの文言が追加されました。

管轄権の原則

管轄権は、被告の住所地等を管轄する裁判所に認められるのが基本です(管轄の原則)。
日本の裁判所が管轄権を有するのは、具体的には以下のケースです。

【人に対する訴えの場合】

  • 被告の住所が日本国内にあるとき
  • 被告の住所がない場合又は住所が知れない場合で、その居所が日本国内にあるとき
  • 被告の居所がない場合又は居所が知れない場合で、訴えの提起前に被告が日本国内に住所を有していたと  き(ただし、日本国内に最後に住所を有していた後に、外国に住所を移した場合を除く)(民事訴訟法3条の2)

【法人に対する訴えの場合】

  • 主たる事務所又は営業所が日本国内にあるとき
  • 事務所や営業所がない場合又はその所在が知れない場合は、代表者その他の主たる業務担当者の住所が日本国内にあるとき(同法3条の2第3項)

労働契約に関する管轄

上記の一般規則に加え、事件の種類や性質によって管轄が異なることがあります。
では、国際労働裁判において、日本の裁判所に管轄が認められるのはどのようなケースでしょうか。以下でご説明します。

労働者から事業主に対する訴え

労働者が事業主を訴える場合、個別労働紛争に係る労働契約における労務提供の地が日本国内にあるときは、日本の裁判所に訴えを起こすことができます。なお、労務提供の地が定まっていないときは、労働者を雇い入れた事業所が日本国内にあるかで判断します(民事訴訟法3条の4第2項)。

したがって、日本企業で働く外国人労働者が事業主を訴える際は、基本的に日本の裁判所に管轄権が認められる可能性が高いでしょう。

労務提供地

労務提供地とは、実際に働いて労務を提供している場所を指します。例えば、海外企業と雇用契約を締結後、日本に派遣されて働く外国人の場合、労務提供地は日本ということになります。

なお、労務提供地が定まっていないケース(採用直後で勤務地未定の場合、外国を転々とする勤務体系の場合など)では、労働者を雇い入れた事業所の場所で判断します。つまり、労働者を採用した会社が日本にある場合、日本の裁判所に管轄権が認められることになります。

事業主から労働者に対する訴え

事業主が労働者を訴える場合、労働契約のみに適用される管轄の規定はないため、民事訴訟法3条の2における管轄の原則が適用されます。
よって、労働者(被告)が日本国内に住んでいる場合、基本的に日本の裁判所に管轄が認められます。

一方、労働者が母国に帰国している場合、上記の管轄権は生じません。この場合、同法3条の3の規定(契約上の債務に関する訴え等の管轄権)をもとに、日本の裁判所に訴えを提起できないか個別的に判断することになります。

例えば、労働者の契約違反といった債務不履行に基づく損害賠償請求であれば、債務履行地である日本に管轄が認められます。また、横領や暴力行為等の不法行為に基づく損害賠償請求の場合、不法行為が行われた日本に管轄権が認められます。

合意管轄

民事訴訟法の規定のほか、当事者間に管轄に関する合意がある場合、基本的に合意通りの管轄が認められます(民事訴訟法3条の7第1項)。ただし、その合意は原則として書面で行う必要があります(同法3条の7第2項)。

なお、外国人労働者との労働契約では、日本に管轄を認めるという内容で合意しておくことをおすすめします。なぜなら、労働問題が発生した場合、当該労働者が帰国してしまっていると、基本的に海外(母国)の裁判所に訴訟を提起する必要があるためです。また、日本の裁判所で裁判を行うことで、コストや手間を押さえられたり、コミュニケーションを容易にできたりするメリットもあります。

ただし、合意管轄が無効となるケースもあることに注意が必要です。この点、詳しくは次項をご覧ください。

労働関係に関する紛争の特則

合意管轄は、場合によっては無効になることがあります。

具体的には、裁判権を行使できない国の裁判所に専属的な管轄を認めるという合意は、無効とされます(民事訴訟法3条の7第4項)。
例えば、戦争や社会情勢の悪化により、その国の司法制度がまったく機能していないケースです。

また、合意管轄の有効性が認められるには一定の要件があり、以下に該当しない合意は無効となります(民事訴訟法3条の7第6項)。

  • 労働契約終了時の合意であり、その時の労務提供地の国の裁判所に提訴できるとする合意
  • 労働者が合意管轄に基づく国の裁判所に提訴した場合、又は使用者が提訴した場合に、労働者が当該合意を援用したとき

これらの規定は、一般的に交渉力が弱い労働者を保護する目的で設けられています。

特別の事情による訴えの却下

民事訴訟法の規定によって日本の裁判所に管轄が認められる場合でも、裁判所に訴えを却下される可能性があります。

具体的には、事案の性質・応訴による被告の負担の程度・証拠の所在地その他の事情を踏まえ、日本の裁判所が審理・裁判をすることが当事者間の衡平を害する、又は適正で迅速な審理を妨げるような「特別の事情」がある場合、裁判所は訴えの全部又は一部を却下できるとされています(民事訴訟法3条の9)。

ただし、当事者間の専属的管轄合意に基づく訴えの場合、この規定は適用されません。

なお、この「特別の事情」は例外的・限定的に認められるわけではなく、民事訴訟法上の規定に加えて具体的に検討する必要があると考えられています。

応訴管轄

訴えについて被告が特に異議を述べることもなく応訴する場合、日本の裁判所に管轄権が認められます(応訴管轄)。

具体的には、被告が日本の裁判所に管轄権がない旨の抗弁を提出せず、本案について弁論をした場合又は弁論準備手続きで申述をした場合に、応訴管轄が成立します(民事訴訟法3条の8)。

よって、管轄が認められていない地の裁判所に訴訟が提起された場合、被告は抗弁や訴訟却下の申立てを行う必要があります。

仲裁合意

仲裁合意とは、紛争の解決を仲裁人の判断に委ね、裁判所への訴訟提起はしないと約束することをいいます。当事者は、仲裁対象となる紛争・仲裁地・仲裁機関・仲裁規則等を定めておくのが一般的です。また、仲裁の結果は判決と同じ効力を持ち、国際的な承認・執行力も保証されています。

なお、仲裁合意があるにもかかわらず相手方に訴訟を提起された場合、被告が訴訟却下の申立てを行うことで、当該訴えは却下されます。

ただし、仲裁手続きの内容を定めた仲裁法では、同法の施行後に成立した個別的労働紛争における仲裁合意のうち、将来に生ずる紛争を対象としたものは無効とすると定められています(仲裁法附則4条)。

これは、仲裁の結果の重大性や費用の大きさを鑑み、労働者から訴訟による解決の可能性を一方的に奪うことを阻止し、労働者の保護を図ることを目的とした規定です。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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