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労働時間

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員弁護士家永 勲(東京弁護士会)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

このページでは、労働者の就労において重要な労働条件のうち【労働時間】に焦点を当て、使用者が把握しておくべき法規定や制度等を紹介します。まずはこのページで大枠を掴んでいただき、併せて、掘り下げて解説しているリンク先のページもご活用いただければと思います。

では早速、「労働時間における時間の考え方」から順に確認していきましょう。

労働における時間の考え方

労働基準法上の【労働時間】とは、労働者が使用者の指揮命令下で働く時間を指しますが、含める時間の範囲によっては次のようにそれぞれ呼称が異なります。

主に、労働基準法に定められている「法定労働時間」、就業規則等の規定や労使間の契約において法定労働時間の範囲内で自由に設定できる「所定労働時間」、現実に労働していた時間から休憩時間を除いた「実労働時間」、始業から終業までの実働時間に休憩時間を加算した「拘束時間」の4種類になります。

法定労働時間とは

「法定労働時間」とは、法律で定められている1週間及び1日の最長労働時間のことです。原則として1週間に40時間1日に8時間を超えて労働させてはならない旨規定されています(労基法32条)。ただし、これには例外があります。

特例措置対象事業場は1週44時間の特例措置

特例措置対象事業場においては、1週間に44時間、1日に8時間まで労働させることが可能です(労基則25条の2)。

具体的には、商業映画・演劇業保健衛生業接客娯楽業の、正社員やアルバイト、パートタイマーを含め定期的に勤務する労働者を常時10人未満で使用する規模の事業場が対象となります。この点、会社の規模ではなく、あくまで事業場単位で判断するということがポイントです。

管理監督者の場合

管理監督者は、労働基準法上の労働時間、休憩、休日に関する規定の適用を受けません(労基法41条2号)。

管理監督者とは、労働条件の決定、その他の労務管理について経営者と一体的な立場にある者を指します。この点、管理監督者かどうかの当否は、一般的にいう「管理職」とされる肩書を持つ者にとらわれず、職務内容権限、責任、勤務態様、賃金等の実態に即した判断がなされます。

時間外及び休日労働

使用者が労働者に対し、法定労働時間や法定休日を超えて労働させる場合には、労働基準法36条に基づいた労使協定(=36協定)を締結し、所轄の労働基準監督署に届け出る必要があります。

休憩時間

休憩時間は労働時間に応じて異なります。具体的には、労働時間が6時間以上8時間以下の労働者には45分以上、8時間を超える労働者には1時間以上の休憩を、労働時間の途中に与えなければなりません(労基法34条1項)。

就業規則への記載

就業規則は、労働者の労働条件等に関するルールを定めたものです。労働条件の中でも【労働時間】に関するルールは絶対に記載しなければならない事項の一つです(=絶対的必要記載事項、労基法89条)。

具体的には、始業及び終業の時刻、休憩時間の長さ、休日の日数、与えられる休暇の種類等を記載します。加えて、労働者を2組以上に分けて休憩時間や休日を交替で与えることとする場合、就業時転換(交代期日、順序等)に関する記載も必要です。

「就業規則」についてもっと詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。

就業規則について

労働時間の範囲

【労働時間】といえるどうかは、労働契約や就業規則の定めによらず客観的にみて、労働者が使用者の指揮命令下に置かれているかどうか、その実態に即した判断がなされます。

例えば、始業前の朝礼への参加や終業後の清掃作業、会社内における規定の制服への更衣、研修への参加等が使用者によって義務付けられている場合、これらの時間も労働時間に当たると認められる可能性があります。

また、深夜帯業務中の仮眠時間や、お昼休憩中の電話・来客対応等、実際に作業をしていない時間についても、労働から完全に開放されることが保障されている時間ではないため、休憩時間ではなく労働時間と認められ得るといえます。なお、このように使用者からの命令があれば直ちに作業に従事できる状態で待機している、作業と作業の間の時間を“手待ち時間”といいます。

労働時間の計算方法

法定労働時間は1週40時間、1日8時間です。したがって、例えば1日の実働時間が8時間の会社では、基本的に週休2日を設定することとなります。この場合、1日に実働8時間を超えてする労働や、週に6日労働したうちの6日目の労働は、法定労働時間を超過した労働ですから、基本的には「時間外労働」という位置づけになります。

つまり、労働時間は「法定(所定)労働時間」と「時間外労働」の合計で求めることができます。

労働時間制度の種類

ここで、法定労働時間を超えて労働させることができたり、労働者の裁量で労働時間を決めることができたりする労働時間制度について、いくつか紹介します。

変形労働時間制

変形労働時間制とは、週、月又は年単位で労働時間を調整する制度のことをいいます。繁閑の差がある職種や事業場では、その時期の業務量等に応じて柔軟に労働時間を設定できることから、本制度の導入によって「時間外労働」として扱う時間の削減、つまりは残業代の抑制が期待できます。

フレックスタイム制

フレックスタイム制とは、一定期間について定めた総労働時間の中で、労働者が日々の始業や修行の時刻を自分で決めて働ける制度のことをいいます。制度の導入には、フレックスタイム制に関する規定を就業規則に記載したうえで、労使協定を締結する必要があります。

みなし労働時間制

事業場外みなし労働時間制

事業場外みなし労働時間制とは、労働者が会社の外で業務に従事していて、労働時間の算定が難しい場合に、一定の時間労働したものとみなす制度のことをいいます。原則的に所定労働時間が対象となりますが、通常その業務を行うにあたり所定労働時間を超える労働が必要といえる場合、その分の時間も労働時間とみなされます。

裁量労働制

裁量労働制とは、専門性が高い業務(=専門業務型)、企画、立案、調査、分析の業務(=企画業務型)に携わる業種に限定して、現実にどの程度の時間労働したかにかかわらず、労使協定で定めた一定時間について労働したものとみなす制度のことをいいます。

労働安全衛生法で規定される労働時間に関するルール

労働安全衛生法には、労働者の安全・健康を使用者が適切に管理するためのルールが記載されています。ここでは、その中でも労働時間に関するルールについて紹介します。

長時間労働者に対する医師の面接指導

脳や心臓疾患等の発症と長時間労働との関連性が強いとされることから、使用者には、長時間労働によって疲労の蓄積がみられる労働者に対して、医師による面接指導を行うことが義務付けられています(労安衛法66条の8)。

医師の面接指導義務についての詳しい説明は、以下のページに譲ります。

長時間労働者への面接指導

労働時間の適正な把握

労働基準法上で労働時間や休日に係る定めがある以上、使用者は労働時間を適正に把握し、管理する責務があります。しかし、不適切な運用によって過重な長時間労働等の問題が生じている背景から、厚生労働省により“ガイドライン”が策定されています。

健康診断の結果に基づく労働時間の短縮等の事後措置

健康診断を受けた結果、異常所見がある労働者について必要があると認められるときには、当該労働者の事情を考慮したうえで、労働時間の短縮等の事後措置を講ずる必要があります(労安衛法66条の8)。

使用者が負う「健康診断の実施義務」や、結果に基づく事後措置に関する詳しい説明は、以下のページをご覧ください。

健康診断の実施義務
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