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定年を控えた問題社員の処遇について

事例内容 相談事例
雇用 定年
担当した事務所 ALG 東京法律事務所

事案の概要

定年を控えた社員がいます。この社員は、仕事はしっかり行い会社からの評価は高いものの、素行が著しく悪く、取引先に対して悪態をついたり、恫喝するという事案がこれまで複数回発生しています。

一時期までは、仕事ができる社員であったこともあり、多めに見ていたようですが、ここ最近は会社として厳しく対応するという方針になりました。その後、大手取引先との間で同様の恫喝事案が発生したことから、懲戒処分(戒告)としましたが、改善の様子はなく、同じような取引先でのトラブルを発生させています。
当社は、60歳定年制を採用しており、また、継続雇用制度を設けています。

この社員は間もなく定年を迎えますが、当社としては、当該社員は継続雇用の対象としたくないと考えています。当該社員の継続雇用はしなくても良いでしょうか。

弁護士方針・弁護士対応

「継続雇用制度」とは、定年退職した労働者が希望すればその全員が定年後も引き続いて雇用される制度をいいます。
貴社では継続雇用制度が設けられているため、定年以外の退職事由、解雇事由がある場合を除き、継続雇用をしなくてはならないものと考えられます。

問題は、当該社員に解雇事由があるかどうかであるところ、解雇事由としては、客観的に合理的な理由及び社会通念上の相当性が必要とされており、これらの事情の有無は実務上厳しく審査される傾向にあります。

本件では、一度戒告の懲戒処分をしてからも問題行動が再度なされていることから、解雇事由が認められる余地もゼロではないものと考えられますが、解雇事由が認められないリスクもあります。

継続雇用拒否をする以外の選択肢としては、待遇を一定程度切り下げた労働条件を提示するということも選択肢もあります。給与を大幅に切り下げての条件提示もまた違法とされるリスクはありますが、業務内容や責任を軽微なものとした上で、従前の7割程度(3割引下げ)の給与額を提示する程度であれば、合理的な裁量の範囲内の行為として許容される余地はあるでしょう。

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