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不当解雇による地位確認及び未払い賃金被請求

事例内容 解決事例
雇用 未払賃金
担当した事務所 ALG 大阪法律事務所

概要

試用期間中のタクシー運転手が入社して1か月も経たない間に、規則に反した行為を繰り返し、譴責処分とするも反省することなく、その後も同様の行為を繰り返していました。更には同社の従業員に対し威嚇、無視、更には高圧的な置手紙等を行うなど、協調性を欠いた行動が日常的に行われ、同社内の課長等管理職から指導を受けるも、その行動が是正されることはなく、同社は出勤停止処分を下しました。また、周囲の従業員を脅し、上司の指示を無視するような相手方が在籍していては、職場の秩序を保つことができないと判断し、同社は相手方を使用期間中に解雇しました。

当該従業員はこれを不服とし労働組合を通じ、団体交渉を申し入れました。そこで依頼者は団体交渉への対応や今後について、弊所にてご相談されることとなりました。

まずは団体交渉の代理人として受任しましたが、合意に至らず、相手方も弁護士に依頼し、示談交渉となりましたが、何れも合意に至らず、相手方より労働審判が申し立てられることとなりました。

弁護士方針・弁護士対応

まずは団体体交渉に対応するにあたって、今までの経緯詳細を聞き取りし、それに合わせたエビデンスとなる書類があるか等の確認を行いました。更には、相手方が主張するであろう内容についても予め依頼者から可能な限り確認し、その内容に法的根拠が伴うかについても検討しました。

団体交渉においては、従前の相手方の行状からすると相手方本人が大声を出して威嚇的な対応を行うことが想定されたため、依頼者が萎縮することを防ぎ,冷静に対応するため,複数の弁護士が同席して対応しました。

その際の内容について、所内の他の弁護士とも更に協議を行い、団体交渉での合意が困難であることや相手方の主張が法的手続きに移った場合に、どのようなリスクが発生するか等、事件について複数人の意見を出し合うことで事件解決プロセスの精度を高めました。

また、相手方を解雇したことにより、相手方からは試用期間であることの不通知並びに当該解雇を不当解雇とする主張が為されましたが、これについても事前に依頼者と内容を精査していたため、立証準備をスムーズに行うことができ、審判移行後も証拠書類だけでなく、関係者への聞き取り内容や、今までの解雇処分例と照らし、殊更に本件についてのみ特異性が発生しているわけではない等、十分に主張立証を行うことができました。

結果

相手方より労働者としての地位確認及び未払賃金等として約570万円の支払いを求める労働審判の申立てが行われましたが、結果として250万円の解決金を支払う代わりに労働契約の終了を確認する内容の和解が成立しました。

相手方は、本件解雇は解雇権の濫用であり無効であると主張しました。また,解雇無効により現在に至るまで労働者としての地位は失われていないとし、その期間における未払い賃金も請求してきました。

それに対し、相手方が再三の注意を聞かずに反抗的な対応を継続していた事実、禁煙のタクシーで喫煙を繰り返している事実、他の従業員に対し威嚇している事実、運転手としての適性に疑義がある事実等を主張立証しました。また、弊所では依頼者より、相手方がすでに転職している可能性があるという情報を得ていたため、その情報について調査を行い、他社にて既に就労している事実に鑑みれば、賃金等の請求は減額されるべきであるという予備的な主張をしました。

相手方の行状の酷さが伝わったためか,裁判所は依頼者側にもかなり同情的でしたが、解雇の有効性については言明しませんでした。裁判所は、会社側が支払い能力があることを理由に金員の支払いを含む和解を推奨してきました。依頼者としても、金銭を支払うことで当該労働者と早期に確実に関係を断ち切ることができるのであればメリットがあると判断し、和解を希望されました。

結果として、請求額から約320万円減額した内容で、労働契約が終了したことを確認する和解を成立させることができました。

この結果は、当初より依頼者と協力し、様々な情報を収集し検討を重ねるという地道な努力が実を結び得られたものと思われます。

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