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団体交渉協議中の街宣活動に対する対応

事例内容 相談事例
労働組合・団体交渉 労働争議 街宣禁止仮処分 団体行動
担当した事務所 ALG 東京法律事務所

事案の概要

当社の社員のうち4名が、労働組合に加入の上、未払残業代の支払い等を求めて、組合として団体交渉を求めてきました。
数回の事務折衝及び団体交渉期日を経て、会社として提示できる内容は確定しつつあります。

当該労働組合は、会社からの提示内容が満足なものではないことから、団体交渉と並行して、団体行動として、本店所在地付近の路上で、ビラ配りや演説等の街宣活動を行いました。それらの活動のうち、演説の際の音量があまりにも大きく、周囲の迷惑となっています。

当社のオフィスがある建物には、当社以外にも複数の事業者が入っているため、それらの事業者の従業員の方には、特に迷惑をかけています。このような活動を止めることはできないのでしょうか。

弁護士方針・弁護士対応

労働組合による団体交渉は、憲法28条における団体行動権として保障されるため、労働組合による街宣活動を禁止することは容易ではないと考えられます。しかし、労働者が集団で行う行動のすべてを、団体行動権の行使として正当化できるわけではないと考えられます。

就業時間外に会社の施設外で行われる街宣活動については、憲法28条に定める団体行動権のほか、憲法21条に定める表現の自由の行使として、広く正当性が認められ得るものではありますが、他方で、会社の名誉・信用等を不当に侵害するものや社会的相当性を超えて平穏に事業を営む権利を侵害している場合には、団体行動の正当性が否定される可能性もあります。

そして、そのような社会的相当性を超えた街宣活動を抑止する手段としては、裁判所において、街宣禁止の仮処分の申立をすることにより、一定内容、態様の街宣活動をしてはならないとの判断を求めることが考えられます。

なお、前述のように、街宣活動については、表現の自由としも保障されるため、無制限に禁止することはできず、ある地点から半径●メートル以内というように、一定範囲内においてのみの街宣活動の禁止を求めることとなります。そのため、禁止を受けた労働組合としては、禁止された範囲外で行ったり、態様を変えたり、演説の内容を変えることで、街宣禁止命令を回避することは不可能ではないこととなります。

しかし、仮処分の申立てをすることにより、会社としては、労働組合による要求のうち、過剰な要求については屈しない姿勢を見せることができるため、団体行動への対応としては、一定の効果は望めるものと考えられます。

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