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障害者雇用の従業員の解雇の可否

事例内容 相談事例
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担当した事務所 ALG 東京法律事務所

事案の概要

障害者雇用で使用している従業員が、同僚である女性従業員の顔写真を加工して、自身のSNSアカウントに投稿していることが判明しました。
当社では、ソーシャルメディア利用に関する誓約書を社員から取得しており、本件の従業員においても、当該誓約書を取得した上、悪用を厳に慎むよう指導しています。
本件で、当該従業員を解雇しようと考えていますが、障害者雇用で使用している従業員に対する対応として、適切でしょうか。

弁護士方針・弁護士対応

労働者の解雇に当たっては、一般論として、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる必要があります(労働契約法16条)。さらに、労働者が障害者である場合、事業主は、障害者に対して合理的な配慮をする義務があります(障害者雇用促進法36条の3)。

そのため、障害のある労働者の問題行動を理由に解雇する場合、当該労働者の障害の特性を理解したうえで、会社が適切な注意や指導を行い、労働者に改善の機会を与えていたかどうかが重要となり、改善の見込みがない場合に初めて正当な解雇理由があると認められると考えられています。

少し極端な事例ではありますが、過去の裁判例には、大学の准教授であったアスペルガー症候群(広汎性発達障害の一例)のある教員が、大学附属病院にナイフを持参して来訪し、自己の手首を2回切り、銃刀法違反の嫌疑により現行犯逮捕される事件を起こしたこと等を理由に当該教員を解雇した事案において、一般的には問題があると認識し得る行為でも、当該事案ではアスペルガー症候群に由来してその問題意識を理解できないという特殊な前提が存在するから、解雇前に指導を行い、改善の機会を与える必要があるところ、当該事案では、解雇の前に大学から教員に対する指導や指摘が行われていないこと等から、解雇を無効と判断したものがあります(京都地方裁判所平成28年3月29日判決)。

本件では、従業員が、同僚の女性従業員の顔写真を加工した上、自身のSNSアカウントに投稿し、会社において、ソーシャルメディア利用に関する誓約書を社員から取得しており、本件従業員からも取得して悪用を厳に慎むよう指導しており、懲戒事由に該当するような行為とはいえそうです。

一方、本件従業員によるソーシャルメディアの不適切な利用の発覚後の注意指導及び注意指導後の本件従業員の改善の見込みの検討ははこれから検討が必要となりそうです。

前述の裁判例を踏まえると、会社において、障害の特性に応じた適切な注意指導を行い、それでもなお改善の見込みがない場合に初めて解雇が有効となりうると考えられます。他方で、従業員の今後の改善の見込みを検討することなく、解雇を行っても無効であると判断される可能性が高いでしょう。

そのため、本件では、まずは従業員から詳細な事情聴取を行った上で、従業員に対して障害の特性を踏まえた適切な処分及び指導・教育を行い、それでも従業員の非違行為が再発・継続する場合にはじめて解雇を検討すること適切と考えられます。

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