事例内容 | 相談事例 |
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雇用 | パートタイマー |
労働 | 労働条件の不利益変更 労働契約 |
担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
事案の概要
当社にてアルバイトとして雇用している社員について、雇用契約書には、労働時間として10時から19時までの8時間(休憩1時間)の週5日勤務とされておりましたが、店舗責任者が10時から18時(休憩60分)の7時間勤務にしないといけないと勘違いして、採用面接において、アルバイト本人にその旨伝えて了承をもらって7時間勤務してもらっておりました。
アルバイト本人もよくわからず、責任者がそう言うのであればと7時間勤務していました。
その後、アルバイト本人が店舗責任者に8時間勤務できないか確認したところ、店舗責任者が本部に確認し8時間勤務が現状の契約内容なので働かせるようにと回答があったことから、以降は8時間勤務になりました。
これに対して、アルバイト本人から店舗責任者の手違いにより、入社時から7時間労働をしていた期間は、本来働けた1時間分損をしてしまっているが、損失分についてはどういった対応になるのか、との質問がありました。
この場合、本人も了承していたとして口頭での契約が成立する(7時間)のでしょうか。それとも、雇用契約書では8時間となっているので、本来は8時間であったところを7時間労働としていたことから、1時間分については会社が補償しなければならないのでしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
今回の相談では、採用時の面談に当たり、契約書には労働時間が8時間と記載されているもの、実際は7時間となる旨明示して説明をし、アルバイト社員がこれを了承した上で採用した、という経緯であるとのことです。
そうすると、アルバイト社員の労働時間が7時間となったのは、一旦労働契約で合意された労働条件を事後的に変更したものではなく、そもそも7時間労働として労働契約が締結されたものと考えることができます。
相談の内容からすると、採用段階で、アルバイト社員としても、労働時間が、契約書の記載にかかわらず7時間となることを了承し、実際にも7時間労働をしており、その間に特段の異議もなかったものと推察されます。
これらの事情からすると、仮に、労働契約書において労働時間が8時間と記載されていたとしても、当該アルバイト社員との間では、労働時間を7時間とする労働契約が成立したものと判断されるものと考えられます。
そして、その場合には、そもそも8時間の労働義務があったものとは判断されないこととなるため、貴社は、1時間分の休業手当の支払義務を負わないこととなります。
一方、本件について、万が一裁判となった場合、客観的な証拠として残っている雇用契約書において、労働時間が「8時間」と記載されていることからすると、「労働時間は8時間として合意されていた」と判断される可能性は完全に否定することはできないものと考えられます。労働時間を8時間と認定された場合には、労働できなかった1時間分については、使用者都合の休業となるため、労働者に対して、1時間分の賃金を支払わなければならないこととなります。
そして、この場合、使用者都合に労働できなかった時間分の給与について、会社側の帰責性の程度が高いと考えられることからすると、「債権者の責めに帰すべき事由により債務者が債務の履行をできなくなった場合に、債権者は、反対給付を拒むことができない」と規定されている民法536条2項に該当すると考えられ、7時間労働であった期間の各1時間分の賃金全額の支払義務を負うと判断される可能性が高いものと存じます。
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