派遣法の3年ルールとは?例外ケースや企業対応などをわかりやすく解説

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

派遣法における3年ルールとは?

派遣法における3年ルールとは、原則として、3年を超えて派遣社員を受け入れることはできないルールをいいます。

派遣の3年ルールはなぜ導入された?

派遣の3年ルールは、派遣先の常用労働者(いわゆる正社員)との代替を防止する観点や、派遣労働者の派遣就業への望まない固定化を防止する観点から導入されました。

派遣の3年ルールの適用対象

派遣の3年ルールのうち、事業所単位の期間制限は、以下の①から⑥を除いて、派遣先が労働者派遣を受ける場合に適用されます。個人単位の期間制限については、①から⑥のような例外はありません。

  • ①労働者派遣に係る派遣労働者が無期雇用派遣労働者の場合
  • ②労働者派遣に係る派遣労働者が60歳以上である場合
  • ③有期プロジェクト業務(事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定の期間内に完了することが予定されているもの)について労働者派遣の役務の適用を受ける場合
  • ④日数限定業務(派遣労働者の従事する業務が1ヶ月間に行われる日数が、その派遣先に雇用される通常の労働者(原則として正規の従業員)の1ヶ月間の所定労働日数に比し相当程度少なく(半分以下)、かつ月10日以下である業務)について労働者派遣の役務の提供を受ける場合
  • ⑤派遣先の労働者が産前産後休業、育児休業、産前休業に先行し、又は産後休業若しくは育児休業に後続する休業であって、母性保護又は子の養育をするための休業をする場合のその労働者の業務について、派遣労働者の役務の提供を受ける場合
  • ⑥派遣先の労働者が介護休業及び介護休業に後続する休業であって、対象家族を介護するための休業をする場合のその労働者の業務について、派遣労働者の役務の提供を受ける場合

派遣の3年ルールには2つの種類がある

派遣の3年ルールには、①派遣先の「事業所単位の期間制限」と、②派遣労働者の「個人単位の期間制限」があります。

①事業所単位の期間制限

派遣先は、原則として、同一の事業所において、派遣可能期間(3年)を超えて派遣を受け入れることはできません(労働者派遣法(以下、「法」といいます。)40条の2第1項、第2項)。
これを、事業所単位の期間制限といいます。

②個人単位の期間制限

派遣先の事業所における同一の組織単位(いわゆる「課」などを想定)で、3年を超えて同一の派遣労働者を受け入れることはできません(法40条の3)
これを、個人単位の期間制限といいます。

派遣の3年ルールが例外になるケース

事業所単位の期間制限の例外として、派遣先の事業所の過半数労働組合等から意見を聴いた上であれば、3年を限度として派遣可能期間を延長することができます(法第40条の2第3項)。
この場合でも、個人単位の期間制限の適用を受ける点には注意が必要です。

派遣の3年ルールと5年ルールの違いは?

いわゆる5年ルールとは、有期労働契約が更新されて通算契約期間が5年を超える労働者に、無期労働契約締結の申込権を認め、使用者がこれを承諾したものとみなすことによって、無期労働契約への転換を認めるものです(労働契約法第18条)。
このルールの適用対象は、3年ルールとは異なり、派遣労働者に限られません。

派遣元と有期労働契約を締結して派遣業務(有期雇用派遣)に従事している派遣労働者は、派遣元との有期労働契約の更新によって通算契約期間が5年を超える場合には、派遣元に対し無期労働契約(無期雇用派遣)への転換を求めることができます。

詳しくは以下のページをご確認ください。

3年を超えて派遣社員を雇用したい場合に企業ができること

派遣先が、3年を超えて派遣社員を雇用したい場合には、①直接雇用への切り替え、②部署や課を異動させる、③派遣元に無期雇用契約をしてもらうといった方法が考えられます。

直接雇用へ切り替える

3年ルールは、労働者派遣の期間に関するものであるため、派遣先企業が、派遣社員を直接雇用に切り替えれば、この制限は適用されません。

部署や課を異動する

3年ルールのうち、個人単位の期間制限は、部署や課などの同一の組織単位における制限です。
そのため、派遣社員を別の部署や課などへ異動させれば、個人単位の期間制限はリセットされ、引き続き、派遣社員として受け入れることが可能です。

派遣元に無期雇用契約してもらう

派遣社員が派遣元と無期雇用契約を結んでいる場合、その派遣社員は、期間制限の適用除外となります。

よくある質問

3年ルールを超えて派遣社員を受け入れることは可能ですか?

原則として、3年ルールを超えて派遣社員を受け入れることはできません。

派遣法の3年ルールにおける「クーリング期間」とは何ですか?

派遣先が再び派遣を受ける場合、前回の派遣終了から次の派遣開始までの間隔が3ヶ月以内であれば、継続して派遣を受けているとみなされます。

また、同じ派遣労働者を同じ部署や課などの組織単位で再び受け入れる場合も、派遣終了から次の派遣開始までの間隔が3ヶ月以内なら、継続して同じ労働者を受け入れているとみなされます。

この3ヶ月の間隔を「クーリング期間」と呼びます。

派遣法の3年ルールにおける「抵触日」とは何ですか?

「抵触日」とは、以下の2つをいいます。

  • ①派遣先の同一の事業所等に対し労働者派遣できる期間に抵触することとなる最初の日
  • ②同一の派遣労働者を派遣先の事業所等の同一の組織単位に対し労働者派遣できる期間に抵触することとなる最初の日

派遣法の3年ルールは廃止されるのでしょうか?

現在、派遣法の3年ルールが廃止されるという決定的な情報はありません。

派遣契約が途中で更新された場合、3年ルールはどう計算されますか?

派遣契約が途中で更新された場合であっても、3年ルールの計算方法は変わりません。

3年ルールの期間途中で派遣社員が退職した場合、再び同じ人を受け入れることはできますか?

再び同じ人を受け入れることはできますが、クーリング期間が経過していない限り、退職前の派遣期間と通算して3年が上限となります。

派遣社員が休職・産休・病欠の場合、3年ルールのカウントはどうなりますか?

派遣社員が休職、産休、育休、病欠などで実際に働いていない期間であっても、派遣契約が継続しているのであれば、その期間は、3年ルールの期間に含まれます(カウントがストップするわけではありません)。

派遣元が複数ある場合、3年ルールは派遣元ごとに適用されますか?

派遣元が複数あっても、3年ルールは派遣元ごとには適用されません。

3年ルールは派遣社員の雇用形態により異なりますか?

3年ルールは、派遣社員が無期雇用派遣社員の場合等、雇用形態によっては適用対象外とされています。

労働者派遣についてお悩みなら弁護士法人ALGにご相談ください

3年ルールには、事業所単位の期間制限と個人単位の期間制限という2つの制度があり、各ルールの適用場面等、複雑な構造になっています。
そこで、3年ルールをはじめとする労働者派遣に関する事項については、弁護士に相談するのもおすすめです。

弁護士法人ALGは、労働者派遣を含め企業法務の知識・経験豊富な弁護士が揃っています。お悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

ちょこっと人事労務

企業の様々な人事・労務問題は弁護士へ

企業側人事労務に関するご相談 初回1時間 来所・オンライン法律相談無料

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません。

0120-630-807

受付時間:平日 9:00~19:00 / 土日祝 9:00~18:00

0120-630-807

平日 9:00~19:00 / 土日祝 9:00~18:00

※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円) ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。 ※無断キャンセルされた場合、次回の相談料:1時間10,000円(税込11,000円)※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

執筆弁護士

弁護士 久保田 惇
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所弁護士久保田 惇(東京弁護士会)
弁護士 アイヴァソン マグナス一樹
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所弁護士アイヴァソン マグナス一樹(東京弁護士会)

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、企業法務担当執行役員を務め、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働法務記事検索

労働分野のコラム・ニューズレター・基礎知識について、こちらから検索することができます