新型コロナウイルスの感染と治癒後の職場復帰

新型コロナウイルスに感染した労働者が治癒した場合、使用者はどのタイミングで労働者を職場復帰させれば良いのでしょうか?また、使用者は、職場復帰した労働者に対して、どう接したら良いのでしょうか?
ここでは、新型コロナウイルスに感染した労働者が治癒した場合の使用者側の対応について、詳しく解説していきます。

新型コロナウイルスに感染した労働者が治癒したら

まず、新型コロナウイルスに感染した労働者が治癒したら、使用者は労働者の職場復帰の時期を検討することになります。

治癒した労働者の職場復帰について

もっとも、新型コロナウイルスに感染しても症状が出ないこともありますし、感染してしばらくしたら症状が治まっても、ウイルスが体内に残っている期間もあります。

そのため、使用者が、労働者の症状だけをみて、職場復帰の時期を判断することはできないことになります。

会社はどのタイミングで職場復帰させるべきか?

では、使用者は、何を基準として、労働者の職場復帰の可否を判断すれば良いのでしょうか?

この点に関して、厚生労働省は、①症状がある場合、発熱等の症状が出てから10日間経過し、かつその症状が軽快してから72時間経過したとき、②症状がない場合、検査のために検体をとった日から10日間を経過したとき及び③2回のPCR等の検査で連続して陰性が確認されたとき等に、退院できるとしていますので、これがひとつの目安になると考えられます。

治癒した労働者に対し、診断書の提出を求めることは可能か?

医療機関は労働者が現に新型コロナウイルスに罹患していないことを証明できないため、使用者が労働者の職場復帰を判断する場合、労働者の自己申告を信頼するか(①)、労働者が検体をとった日やPCR検査の実施日及びその結果を示す証明する書類(②③)を提出させることになると考えられます。

治癒した労働者を職場復帰させる際の注意点

使用者が、新型コロナウイルスに感染した労働者を職場復帰させることにした場合、どういったことに気をつければ良いのでしょうか?

職場復帰する労働者への接し方

使用者は、念のため、退院後1週間程度の自宅療養期間を設け、労働者の体調に配慮したうえで、復職時期を定めることが望ましいと考えられます。また、労働者は、新型コロナウイルスに感染したことや他の労働者に迷惑をかけたことにストレスを感じ、万全の状態ではないこともありますので、使用者は、職場復帰した労働者とコミュニケーションをとって、業務内容を柔軟に決定していく必要があると考えられます。

周囲の労働者に向けたメンタル面でのケア

周囲の労働者は、新型コロナウイルスに感染した労働者が職場に復帰する際に、自身も感染するのではないかと疑心暗鬼になるおそれがあります。そこで、使用者は、事前に、労働者に対して、新型コロナウイルスに感染した労働者が職場復帰するまでのプロセス及び復帰時期の判断基準の合理性をしっかりと説明することが必要と考えられます。

メンタルヘルスにかかわる解説については、こちらも併せてご覧ください。

新型コロナウイルス感染における職場でのハラスメントについて

職場の労働者が、職場復帰した労働者に対して、新型コロナウイルスに感染したことを理由に、人格を侵害するような言動をする場合があります。こういった事態を防ぐためには、どうすれば良いのでしょうか?

「コロナハラスメント」を防止するためには

コロナハラスメントの原因は、「あの人、咳をしているから、まだコロナが完治していないのでは……」という不安や「なんで、あの人を家で仕事させないんだ」といった不満であると考えられます。こういった不安や不満を抱いた労働者が気軽に相談できる窓口を設けておくことや、新型コロナウイルスに関する労働者の理解を深める啓蒙活動を社内で定期的に行っておくことが、コロナハラスメント防止方法のひとつであると考えられます。

ハラスメントに関する詳しい内容は、ぜひこれを参考になさってください。

新型コロナウイルスを治癒した労働者への対応について、弁護士がアドバイスいたします

治癒した労働者の復帰時期の判断に迷った場合や、労働者に対する新型コロナウイルスの情報提供等を検討している場合等には、弁護士が協力させていただきますので、ぜひお問い合わせください。

執筆弁護士

弁護士 森下 優介
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所弁護士森下 優介(東京弁護士会)

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 執行役員弁護士家永 勲(東京弁護士会)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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