| 事例内容 | 相談事例 |
|---|---|
| 雇用 | 合意退職 |
| 問題社員 | 競業 |
| 担当した事務所 | ALG 東京法律事務所 |
概要
今月退職する社員に対して、退職後の競業避止義務を課したいと考えています。しかし、競業避止義務を課すには会社からの「代償措置」がなければ法的に有効とならないと聞いたことがあります。実際に代償措置がなければ、競業避止義務は無効となってしまうのでしょうか。
弁護士方針・弁護士対応
退職後の競業避止義務を定める合意(誓約書等)の有効性については、労働者の「職業選択の自由」(憲法22条1項)を不当に制限するものでないかという観点から、一般的に以下の要素を総合的に考慮して有効性が判断されます。
①企業の正当な利益(守るべき営業秘密やノウハウ、顧客関係等があるか)
②退職する従業員の地位(重要な営業秘密に接する立場や役職にあったか)
③制限の地域的範囲(必要以上に広範な地域を制限していないか)
④制限の存続期間(概ね1年〜2年程度など、長すぎないか)
⑤禁止される競業行為の範囲(特定の業務に限定されているか、抽象的・包括的すぎないか)
⑥代償措置の有無(在職中の給与等に競業避止の対価が含まれていたか、別途手当等が支給されるか)
そして、確かに、代償措置の有無は、多くの場合で競業避止義務の有効性に影響を与えます。しかし、代償措置がないからといって直ちに無効となるわけではありません。代償措置がなくとも競業避止義務の有効性を認めた裁判例(高知地判例令和7年12月5日)も存在します。
したがって、代償措置をとらずに競業避止義務の有効性を高めるためには、退職する従業員が在職中に「どの程度会社の営業秘密を扱っていたか」「会社においてどのような立場にいたか」を具体的に確認したうえで、それらの事情に照らし合わせ、競業を禁止する「期間」「地域」「対象業務の範囲」を、会社の正当な利益を守るために必要かつ合理的な範囲に限定して義務を課すということが必要になるものと考えます。
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