初回1時間 来所・zoom相談無料

0120-630-807

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません 会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません

※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

人事・労務・労働問題を法律事務所へ相談するなら会社側・経営者側専門の弁護士法人ALGへ

女性従業員の労働

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

少子高齢化が進むなか、日本の経済を持続的に発展させるためには、労働者が自分の性別に囚われることなく、自身の能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することが重大な課題とされています。そのために、妊娠・出産・育児と仕事との両立を望む女性労働者に対するサポートは、特に重要視されるようになってきました。

そこで、企業は、現状において女性労働者が抱えている問題について、どのような配慮が求められるかを考える必要があります。
そのため、本記事では、男女間に生じている格差の解消、及び女性労働者の母性の尊重を目的に設けられた法律の定めについて解説していきます。

妊娠中の女性労働者等への配慮

女性労働者について、妊娠・出産・育児と仕事を両立できるようにすることが社会課題となり、企業によるサポートが必要とされています。特に、妊産婦(妊娠中の女性と出産後1年が経過していない女性)及び育児中の女性に対する配慮は重要です。

実際に、男女雇用機会均等法には「母性健康管理措置」が、労働基準法には「母性保護規定」が、それぞれ設けられています。これらの措置や規定が、どのようなものなのか詳しくみていきましょう。

男女雇用機会均等法が定める「母性健康管理措置」

男女雇用機会均等法(以下「雇均法」といいます。)には、母性健康管理措置として以下のものが定められています。

  • 保健指導又は健康診査を受けるための時間の確保(雇均法12条)
    企業は、働いている女性が、妊産婦のための保健指導や健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければなりません。
  • 指導事項を守ることができるようにするための措置(雇均法13条)
    企業は、妊娠中や出産後の女性が、健康診査等で医師等から受けた指導事項を守れるように、時差出勤の措置や、休憩時間を増やす等の措置を取らなければなりません。
  • 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止(雇均法9条)
    企業は、女性が妊娠・出産・産前産後休業の取得、妊娠中の勤務時間短縮等の措置を受けたことや、深夜業免除等の措置を受けたことを理由に、解雇・降格・減給といった不利益取扱いをしてはなりません。

なお、母性健康管理の詳細について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

企業が講ずべき「母性健康管理措置」について

労働基準法が定める「母性保護規定」

体に過度な負担をかける働き方は、母体や胎児の健康に悪影響を与えるおそれがあります。
そこで、労働基準法(以下「労基法」といいます。)では、妊娠中および出産後の女性労働者の健康を確保し、安心して働ける環境を整えるための「母性保護規定」を設けています。

妊娠や出産に伴う体調は人それぞれ異なるため、妊産婦本人の希望に応じて、就業上の配慮や制限を求められる点が、この制度の大きな特徴です。

具体的には、次のような母性保護措置が定められています。

  • 産前産後休業
  • 妊婦の軽易業務転換
  • 妊産婦等の危険有害業務の就業制限
  • 妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限
  • 妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限
  • 育児時間
  • 罰則

産前産後休業

産前産後休業とは、女性労働者が出産する前と出産後に休む権利を保障する制度です。
母性保護の観点から、産前産後の女性労働者に関しては、次のような保護規定が設けられています(労基法65条第1項、第2項)。

  • 女性から請求があった場合は、出産予定日の6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前から当該女性を就業させることが禁止されます。
  • 出産の翌日から8週間は、女性を就業させることが禁止されます。
    *例外として、産後6週間を経過した女性から請求がある場合に、医師が支障ないと認めた業務に就かせることは可能

産前産後休業について、さらに詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。

産前産後休業とは|期間や給与、有給の取り扱い、労務手続きなど

妊婦の軽易業務転換

労基法65条第3項によると、使用者は妊娠中の女性から請求された場合、当該女性労働者を他の軽易な業務に転換させなければなりません。基本的には、請求された業務へ転換させる義務が発生します。

もっとも、他に転換させられるような軽易な業務がない場合に、新しく軽易な業務を作り出してまで転換させる義務はないとされています。その場合には、従来の業務の負担を軽減する等の措置を行うことで足りると考えられます。

なお、軽易な業務に転換したことを理由として不利益な取扱いを行うことは禁止されています。例えば、妊娠中の軽易な業務への転換を契機とした降格は、基本的には違法となるため、注意が必要です。

妊産婦等の危険有害業務の就業制限

労基法64条の3は、使用者に対して、妊産婦を危険有害業務に就かせることを禁止しています。
具体的に、危険有害業務とは、次のような業務のことをいいます。

  • ①重量物を取り扱う業務
  • ②有害ガスを発散する場所における業務
  • ③その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務

このように、妊産婦については禁止される業務の範囲が広くなっています。
妊産婦の就業制限業務の具体的な範囲については、女性労働基準規則2条に規定されているので、併せてご確認ください。

労働安全衛生法上の危険物・有害物・機械等に関する規制

妊産婦に対する変形労働時間制の適用制限

変形労働時間制とは、労働時間を週単位や月単位、年単位で調整することによって、繁忙期等に法定労働時間を上回る労働時間が生じても、一定の範囲で時間外労働としての取扱いをしないことが許容される制度です。

使用者は、変形労働時間制を採用していたとしても、妊産婦が請求した場合は、妊産婦の1週間または1日の労働時間について、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働させてはならないと規定されています(労基法66条第1項)。

なお、妊産婦から請求がない場合には、当該規定は適用されないため、労働時間を一方的に削減してはならないことに注意してください。

変形労働時間制について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

変形労働時間制とは|種類や残業時間の計算方法などわかりやすく解説

妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限

労基法66条第2項及び第3項は、使用者に対して、妊産婦から請求があった場合、妊産婦に時間外労働・休日労働・深夜業をさせてはならないことを定めています。

なお、時間外労働だけ、休日労働だけ等、限定的に請求可能ですので、使用者は、請求された範囲内の業務に妊産婦を従事させないよう配慮する必要があります。

育児時間

育児時間とは、生後満1歳未満の子供を育てる女性が請求できる、育児を行うための時間のことです。

育児時間は、通常の休憩時間のほかに請求することが可能であり、基本的には1日2回・各30分以上請求できるとされています(労基法67条)。1日2回とされていますが、必ず2回に分けて取得させなければならないわけではなく、1時間以上の育児時間をまとめて取得させるといった運用も可能です。

なお、1日の勤務時間がフルタイム勤務の半分以下の場合(例えば、元々のフルタイムが8時間の方が4時間以下の時短勤務となる場合)には、使用者は、1日30分の育児時間を与えれば良いとされています。

育児時間中の賃金の取扱い等、詳細は下記の記事をご覧ください。

労働基準法の育児時間とは|基本的な考え方や労務管理上の注意点

母性健康管理・母性保護を怠った事業主への罰則

企業が母性健康管理措置に違反した場合には、助言や指導、勧告といった行政指導が行われることがあります。さらに、これらの是正指導に応じない場合には、企業名が公表される可能性もあり、社会的信用を大きく損なうおそれがあります。

また、母性保護規定に違反した場合には、6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があるため注意が必要です(労基法119条)。例えば、従業員から産前休業や育児時間取得の申出があったにもかかわらず、これを拒否すると刑事罰の対象になりかねません。企業には法令遵守が強く求められます。

女性従業員の生理休暇

生理休暇とは、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合に、使用者がその女性を生理日に就業させることを禁止する制度です。一般の女性労働者に対する保護規定として、労基法68条に定められています。

「生理日の就業が著しく困難」な女性労働者から休暇を請求された場合、使用者は必ず休暇を与えなければなりません。これに違反した使用者には、30万円以下の罰金が科されます(労基法120条第1号)。

症状の重さや作業内容は人によって異なるため、就業規則などで生理休暇の日数に上限を設けることは認められません。また、生理休暇を有給とするか無給とするかについては法律上の定めはなく、会社の判断に任せられています。

生理休暇の運用ルールについて詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

生理休暇|労働基準法における規定、不正取得への対策など

性別による差別の禁止について

雇均法は、労働者が性別により差別されることなく働くことができるようにするための法律です。
雇均法によって禁じられている女性労働者に対する差別としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 採用や昇進、労働契約の更新等について、性別を理由として差を設けること。
  • 合理的な理由なく、身長が高いことや筋力があること、転居を伴う転勤が可能であること等を、採用や昇進の要件とすること。
  • 結婚や妊娠、出産等を理由に退職を強要することや、退職勧奨の対象にすること。

なお、女性だけを優遇することも禁止されていますが、既に存在する格差を改善するためならば認められるケースがあります(雇均法8条)。

性別による差別禁止について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

雇用における差別

男女同一賃金の原則とは

労働者が女性であることを理由として、男性よりも賃金を低くすることは禁止されています(労基法4条)。
性別による賃金の差別として、次のような事例が挙げられます。

  • 女性の初任給を男性よりも低額にする
  • 昇給額に男女で差を設ける
  • 妻がいる男性には家族手当を支給するが、夫がいる女性には家族手当を支給しない

労基法4条に違反した取扱いをした場合には、当該取扱いが無効とされるおそれがあることに加え、使用者は6ヶ月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処せられるおそれがあります。

しかし、日本の実態として、女性の賃金は男性の7割程度だとされており、格差の存在は否定できません。これは、女性が長く勤めることや、昇進することが難しかったという社会的背景が、主な原因であると考えられています。

男女同一賃金の原則について争われた判例

【平成21年(ワ)43218号 東京地方裁判所 平成26年7月18日判決 フジスター事件】

本件は、女性である原告が、賃金・賞与について、男性従業員よりも不当に低く抑えられてきたと主張して、被告会社に対し、未払賃金等を請求した事案です。

裁判所は、まず一般論として、企業としてどのような点を重視して従業員にインセンティブを与えるべきかという事柄は、当該企業の経営判断に属し、一定の職種によってインセンティブを与えるという方針の下で給与決定をすること自体は、それが職種の違いを踏まえても合理性を有しない不当な差別にわたると評価される場合に該当しない限り、違法とされるものではないと判示しました。

そして、裁判所は、住宅手当及び家族手当が、男性従業員に対してのみ支給されていたことを認定しましたが、両手当は裁判外で清算済みであるし、両手当の請求は棄却となりました。

これに対し、役職手当について、裁判所は、原告は被告会社の不法行為によって、同じ企画職に就いている男性従業員と比べ、役職手当の支給される時期が著しく遅いという不利益を受けていることを認め、原告が被った不利益の程度を具体的に認定することはできないが、原告は性別により差別されないという人権を侵害されたとして、慰謝料50万円の請求を認容しました。

女性が働きやすい環境を作るために企業が講ずべき措置

女性が働きやすい環境を作るためには、法律に則った就業規則を整備し、社員に周知する必要があります。また、法改正に対応して就業規則を修正し、その度に周知するようにしましょう。

また、相談窓口を設置する等、女性労働者からの相談や苦情を受け付けるための体制を設けましょう。
企業として、残業はなるべく減らし、属人的な仕事をチームによるものに変えていく方法によって、有給休暇等を取得しやすい体制を整える等の取り組みを進めれば、女性が働きやすい環境に近づけることができます。

産業医がいる場合は、人事部門の管理職等との連携によって、女性にとって働きやすい職場を作ることのできる可能性が高まります。

ちょこっと人事労務

企業の様々な人事・労務問題は弁護士へ

企業側人事労務に関するご相談 初回1時間 来所・zoom相談無料

企業側人事労務に関するご相談 来所・zoom相談無料(初回1時間)

会社・経営者側専門となりますので労働者側のご相談は受付けておりません。

0120-630-807

受付時間:平日 9:00~19:00 / 土日祝 9:00~18:00

0120-630-807

平日 9:00~19:00 / 土日祝 9:00~18:00

※電話相談の場合:1時間10,000円(税込11,000円) ※1時間以降は30分毎に5,000円(税込5,500円)の有料相談になります。 ※30分未満の延長でも5,000円(税込5,500円)が発生いたします。 ※相談内容によっては有料相談となる場合があります。 ※無断キャンセルされた場合、次回の相談料:1時間10,000円(税込11,000円)※国際案件の相談に関しましては別途こちらをご覧ください。

この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

労働法務記事検索

労働分野のコラム・ニューズレター・基礎知識について、こちらから検索することができます