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在宅就業障害者支援制度とは|対象者や勤務場所、調整金など詳しく解説

弁護士法人ALG 執行役員 弁護士 家永 勲

監修弁護士 家永 勲弁護士法人ALG&Associates 執行役員

通勤や職場での就労が困難な障害者の方にとって、在宅ワークは重要な働き方といえます。そこで、障害者の在宅ワークによる就業を推進するため、2006年より「在宅就業障害者支援制度」が導入されました。

この制度では、障害者に在宅ワークを業務委託などの形で仕事を発注した企業には、条件を満たすことで「調整金」や「報奨金」が支給されます。労働力を確保しつつ、金銭的な支援を受けられるため、企業にとっても魅力的な制度といえるでしょう。

本記事では、在宅就業障害者支援制度の概要、助成金の支給要件や計算方法などについて詳しく解説していきます。

在宅就業障害者支援制度とは

「在宅就業障害者支援制度」とは、障害のある方が自宅などで働ける環境を整えるために、国が2006年に導入した支援制度です。通勤や職場での勤務が難しい障害者の方でも、安心して在宅ワークに取り組めるよう、企業と障害者の双方をサポートする仕組みとなっています。

この制度では、企業が在宅で働く障害者に対して業務委託契約などで仕事を発注した場合、条件を満たすことで以下の助成金が支給されます。

  • 特例調整金(障害者雇用促進法74条の2)
  • 特例報奨金(障害者の雇用の促進等に関する法律 附則第4条第4項及び第6項)

それぞれの支給要件は、下記の表をご覧ください。

特例調整金
  • 常時雇用する労働者が101人以上であること
  • 障害者雇用納付金申告または障害者雇用調整金申請をしていること
  • 前年度に在宅就業障害者または在宅就業支援団体に仕事を発注し、対価を支払っていること
  • 支給額は、35万円以上の対価を支払った在宅就業障害者1人あたり2万1000円
特例報奨金
  • 常時雇用する労働者が100人以下であること
  • 報奨金申請をしていること
  • 前年度に在宅就業障害者または在宅就業支援団体に仕事を発注し、対価を支払っていること
  • 支給額は、35万円以上の対価を支払った在宅就業障害者1人あたり1万7000円

これらの助成金は、「障害者雇用納付金制度」に基づいて支給されます。この制度では、法定雇用率を達成していない企業から納付金を徴収し、雇用率を達成している企業に対して助成金や調整金、報奨金として還元する仕組みです。

なお、特例調整金の対象となる企業であっても、法定雇用率を満たしていない場合は、調整金の金額に応じて納付金が減額されるため、制度の活用にあたっては注意が必要です。

対象となる障害者

“在宅就業障害者”とは、企業と雇用関係がなく、次の①~③の条件を満たす者のことをいいます(障害者雇用促進法74条の2第3項第1号)。

  • ①対象となる障害を抱えている
  • ②自宅など、対象となる勤務場所で働いている
  • ③対象となる業務を行っている

①の「対象となる障害」は、障害者雇用率の算定対象となる「障害者」と同様であり、身体障害者・知的障害者・精神障害者に該当する者が対象となります。

ただし、在宅就業者支援制度における精神障害者は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者に限られていることに注意が必要です(障害者雇用促進法37条2項)。

対象 基準 備考
身体障害者 身体障害者障害程度等級表(身体障害者福祉法施行規則別表第5号)の1級から6級までに掲げる身体障害がある者等のこと

主な障害

  • 視覚障害や聴覚障害
  • 平衡感覚障害
  • 肢体不自由、心臓や呼吸器などの臓器の障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害
知的障害者 判定機関によって知的障害があると判定された者

判定機関

  • 児童相談所
  • 知的障害者更生相談所
  • 精神保健福祉センター
  • 障害者職業センター
精神障害者 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者であり、かつ、症状が安定し就労が可能な状態にある者のこと

対象となる勤務場所

在宅就業障害者支援制度は、障害者が自宅などの対象となる勤務場所で働いていることが条件とされています。
対象となる勤務場所として、次の場所が挙げられます(障害者雇用促進法74条の2第3項第1号、障害者雇用促進法規則36条)。

  • 自宅
  • 対象障害者が仕事をするために必要な施設・設備が備わっている場所
  • 仕事に就くために必要な知識や能力を磨くために必要な訓練などが実施される場所
  • 障害の種類や程度に合わせて必要な職業準備訓練が実施される場所
  • そのほか、上記に類似する場所

※障害者総合支援法に基づく「就労移行支援事業」が実施される施設

よって、自宅だけでなく、福祉施設や小規模作業場所なども対象となる可能性があります。
例えば、就労移行支援事業所、就労継続支援事業所(非雇用型)、障害者雇用支援センターなどが想定されています。

一方、在宅就業障害者に直接仕事を発注した企業の事業所などは、制度の対象外となります。

調整金・報奨金の算出方法

特例調整金と特例報奨金は、それぞれ支給額の算出方法が異なります。
具体的な計算方法について、次項から例を交えてみていきましょう。

特例調整金の算定式

調整額(2万1000円)×年間の就業者への支払い総額÷評価額(35万円)=特例調整金の金額

〈例〉常時300人を雇用する事業主が、前年度に3人の在宅就業障害者に仕事を発注し、合計350万円(2人には100万円ずつ、1人には150万円)の報酬を支払ったケース
→ 2万1000円×(100万円+100万円+150万円)÷35万円=21万円

よって、本例の企業は21万円の特例調整金を受け取ることが可能です。

なお、以前は評価額が105万円となっていたため、105万円以上の発注でなければ特例調整金を受け取ることができませんでしたが、現在は35万円に引き下げられたため、より少額の発注でも特例調整金を受け取ることが可能となりました。

特例報奨金の算定式

報奨額(1万7000円)×年間の就業者への支払い総額÷評価額(35万円)=特例報奨金の金額

〈例〉常時200人を雇用する事業主が、前年度に4人の在宅就業障害者に仕事を発注し、合計420万円(3人には100万円ずつ、1人には120万円)の報酬を支払ったケース
→ 1万7000円×(100万円+100万円+100万円+120万円)÷35万円=20万4000円

よって、本例の企業は20万4000円の特例報奨金を受け取ることが可能です。

在宅就業支援団体の利用

企業が障害者の方に在宅ワークを依頼する際、「在宅就業支援団体」を通じて仕事を発注することで、特例調整金や特例報奨金といった助成金を受け取ることができます。

在宅就業支援団体とは、障害者の在宅就業を支援するために、企業と障害者をつなぐ役割を担う認可法人です。厚生労働大臣の認可を受けた法人のみが対象となっており、障害者の就労支援に関する専門的なサポートを提供しています。

具体的な業務内容は、以下のようなものです(障害者雇用促進法74条の3第1項及び第2項)。

  • 在宅就業障害者の希望に合わせた就業機会を組織的に提供する
  • 在宅就業障害者が業務を適切に遂行するために必要な知識・技能を身につけるための職業講習や情報を提供する
  • 在宅就業障害者が業務を適切に遂行するために必要な助言・援助を行う
  • 企業等に雇用される就労形態を望む在宅就業障害者に必要な助言・援助を行う

なお、発注できる仕事の内容(データ入力、DTP等)は団体によって異なるため、あらかじめ確認が必要です。
厚生労働省が登録している在宅就業支援団体の一覧は、以下のサイトで確認することができます。

障害者の在宅就業の対象業務・実例

在宅就業障害者支援制度の対象業務は特に限定されていないため、企業のニーズに応じて柔軟に発注が可能です。
なかでも発注されやすい業務としては、以下のようなものがあります。

  • ホームページの制作
  • ウェブデザイン
  • データ入力作業
  • パソコン等の解体
  • 部品の組み立て
  • 書類の作成・発送

実際に行われている業務の事例は表のとおりです。

業種 業務内容 障害
ホームページ制作、デザイン制作、システム開発等 ホームページ制作、デザイン制作等 肢体不自由、内部障害
データ入力代行等に関する業務、オフィスサービス等に関する業務等 IT関連ヘルプデスク受付 身体障害(両下肢機能障害)1級
ソフトウェア開発、ソフトウェアサービス及びソリューションの販売 各種集計・分析(グラフ作成など)、ポスター制作、社内HPデザイン等 二分脊推による両下肢対麻痺(1級)
銀行文書の保管・管理業務、銀行用度品の取扱業務等 用度品取扱業務(小分け作業、セット作業) 知的障害

障害者在宅勤務の事例は、以下のサイトでも詳しく紹介されていますのでご参考になさってください。

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この記事の監修

執行役員 弁護士 家永 勲
弁護士法人ALG&Associates 東京法律事務所執行役員 弁護士家永 勲 保有資格弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:39024)

執行役員として法律事務所の経営に携わる一方で、東京法律事務所企業法務事業部において事業部長を務めて、多数の企業からの法務に関する相談、紛争対応、訴訟対応に従事しています。日常に生じる様々な労務に関する相談対応に加え、現行の人事制度の見直しに関わる法務対応、企業の組織再編時の労働条件の統一、法改正に向けた対応への助言など、企業経営に付随して生じる法的な課題の解決にも尽力しています。

近著に「中小企業のためのトラブルリスクと対応策Q&A」、エルダー(いずれも労働調査会)、労政時報、LDノート等へ多数の論稿がある

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